SHEINが新規顧客に そのために輸送業者が選んだ技術とは?Supply Chain Dive

Pitney Bowesの小包郵便物取扱量の伸びが著しい。Sheinをはじめとする新規顧客を獲得するために同社が選んだ技術とは。

» 2022年12月02日 12時00分 公開
[Max GarlandSupply Chain Dive]

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Supply Chain Dive

 郵便事業大手のPitney Bowesは、2022年第4四半期の小包郵便物の取扱量が2021年同四半期よりも増加する見込みだ。同社の幹部は2022年11月初旬に開催した決算説明会で、「第3四半期に入ってから、米国内小包における取引先を新たに32件獲得できたことが要因として挙げられる」と述べた(注1)。

Sheinなどの新規顧客獲得 そのために投資した技術とは?

 Pitney Bowesのアナ・マリア・チャドウィック氏(取締役副社長兼CFO《最高財務責任者》)は「新規顧客は第4四半期における国内配送量のおよそ20%を占めるようになるだろう」と予想している。高級デパートチェーンのHudson's Bayとの取り引きに加えて、日本製の食品や商品の詰め合わせを定期配送するサービスを展開するJapan Crateと新規取り引き開始が大きい。

 Pitney Bowesにとって最もインパクトがあったのは、ファストファッションブランドのSHEINを運営するSheinが新規顧客となったことだ。Pitney Bowesのマーク・ラウテンバッハ氏(社長兼CEO《最高経営責任者》)は「これは弊社にとって非常にわくわくするような出来事です」と電話会議で語った。第3四半期に開始したSheinの小包の取扱量は、第4四半期には大幅に増加すると見込まれている。

 業界の予測では、Pitney Bowesの2022〜2023年にかけての年末年始の需要増加は2021〜2022年に比べて緩やかになると思われていた。しかし、実際は年間を通じて新規顧客を確保して、出荷のピークシーズンが始まるにつれて取扱量が増加している(注2)(注3)。

 ラウテンバッハ氏は「今のところ2022年第4四半期のピーク時の取扱量は、2021年同期比、前四半期比ともにかなり増加すると予想している」と話す。

新規顧客だけでなく既存顧客の取扱量も回復

 Pitney Bowesの2022年第3四半期における米国内小包の取扱量は2021年同四半期に比べて減少した。これはeコマース(電子商取引)活動の鈍化と中国からのインバウンド小包の減少が原因だとみられている。ラウテンバッハ氏は「同四半期の週間取り扱い量は、開始時が280万個だったのに対して、終了時には290万個とわずかに増加した程度だった。第4四半期の最初の3週間は、1週間当たり約360万個の小包を取り扱うようになった」と述べた。

 「2022年第4四半期は、Sheinとの取り引きなどがあるため、売上高が大きくなる見込みだ。おそらく1億ドル以上の収益を上げ、業務効率化に取り組むことになる」(ラウテンバッハ氏)

 第4四半期の取扱量が早いうちに増加すれば、Pitney Bowesは2021年よりも伸び悩みがちなピークシーズンから立ち直れるだろう。同社の2021年第4四半期の米国内小包取扱量は、顧客が上流のサプライチェーン問題に悩まされたため、計画より20%少なかった(注4)。専門家は、「2022年のピークシーズンはより順調に増加する」と予測している(注5)。

 チャドウィック氏は「サービス向上を推進する自動化などに対して大規模に投資して、国内の小包利用の新規顧客を獲得した」と述べる(注6)。また、ファッションブランドのVictoria's Secretや、主にペット用品のサブスクリプションサービスを展開するBarkのような既存顧客の取扱量も増加しているようだ。

 ラウテンバッハ氏は「サービスレベルの向上によって、新規顧客を獲得して既存顧客の取扱量も回復した。当社は現在、競合他社よりも有利な立場にある」と述べる。

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