クラウドを「積極的に」選ぶ企業の共通点は? IDCが調査

IDCは、国内クラウド需要調査の結果を発表した。システムの刷新時などにクラウドを優先的に検討する「クラウドファースト戦略」を採っている割合は71.1%に上った。クラウドファースト企業に共通している特徴とは。

» 2022年12月05日 15時30分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 IDC Japan(以下、IDC)は2022年12月1日、国内クラウド需要調査の結果を発表した。同調査は、何らかのクラウドを利用している国内企業(従業員規模100人以上)を対象として2022年9〜10月に実施し、387社から有効回答を得た。

「クラウドファースト」企業は何を重視しているのか?

 今回の調査によると、何らかのクラウドを利用している企業のうち、ITシステムの刷新や新規構築時にクラウドを優先的に検討する「クラウドファースト戦略」を採っている企業の割合は71.1%だった。IT予算の多くが「従来型IT」から「クラウド」へ移行していることが明らかになった。

クラウド戦略とその採択理由についての回答(N=387、複数回答、上位3項目を記載)(出典:IDCのプレスリリース) クラウド戦略とその採択理由についての回答(N=387、複数回答、上位3項目を記載)(出典:IDCのプレスリリース)

 クラウドは広く普及し、企業が複数のクラウドを利用するマルチクラウドも一般化している。同調査では、クラウドファースト戦略を採択した企業は「DX(デジタルトランスフォーメーション)やデータの活用」をその理由に挙げている。DXやデータ活用を重要視する企業におけるクラウドファースト志向が高いことが明らかになった。

 一方、「クラウドオルソー、ベストフィット」(クラウドと従来型ITを同等に検討)や「クラウドラスト」(従来型ITを優先的に検討)を掲げる企業がクラウド戦略を選択した理由の上位にDXやデータ活用は入っていなかった。

 さらに、クラウドファーストをパブリッククラウドファーストとプライベートクラウドファーストに分けた場合、パブリッククラウドファースト戦略を採る企業の割合は55.3%、プライベートクラウドファースト戦略は15.8%だった。パブリッククラウドファースト戦略を採る理由としては「コスト削減」と「IT部門の業務効率化」が、プライベートクラウドファーストでは「ユーザー部門の業務効率化」と「セキュリティ」が、それぞれ上位に入った。

 IDCは、多くの企業がクラウドを活用してDXの推進を図っているものの、SaaS(Software as a Service)やIaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、プライベートクラウドといった配備モデルごとにそのアプローチは異なると指摘する。パブリッククラウドを利用する企業は、その豊富な機能を活用してDXの推進やビジネスの迅速性向上を図っているのに対して、プライベートクラウドを利用する企業は、ITの信頼性を向上させながらDX戦略を進めようとしているといった違いが見られる。

 IDCの松本 聡氏(ITサービスのリサーチディレクター)は「企業がDXを実践する上で、クラウドが重要な技術基盤であるとの認識は浸透した。一方、企業がクラウドを使いこなし、DXを推進することは容易ではない。ITベンダーは、配備モデルやサービスごとの機能性や特徴を訴求するだけではなく、それらを実現するアーキテクチャの理解をユーザー企業に促すことが重要だ」と述べている。

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