日本IBMが提唱する「DX第二章」と「IBM Cloud」の取り組み(1/2 ページ)

日本IBMによれば、現在、DXは「第二章」であり、これを実現するには3つのポイントが欠かせない。実現のためにIBM Cloudが取り組むこととは。

» 2022年12月13日 08時00分 公開
[斎藤公二ITmedia]

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 日本IBMは2022年11月29日、クラウド事業に関する説明会を開催し、同社のクラウド戦略に加えて、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のハイブリッドクラウド支援サービス「OneCUVIC」のグローバル展開を開始すると発表した。

日本IBMが提唱する「DXの第二章」と、それを実現するための「3つのポイント」とは

今野智宏氏

 日本IBMの今野智宏氏(執行役員 クラウド・プラットフォーム事業部長 コンテナ共創センター所長)は、現在のクラウドとDX(デジタルトランスフォーメーション)の変化について「第二章に入った」と指摘し、以下のように説明した。

 「デジタルを中心とした技術が、第四次産業革命を起こしています。社会の価値や人間の生活、行動様式に抜本的な変化が見られ、DXは第二章に入ったと言われます。第二章では、一部の企業や領域でのイノベーションではなく、企業の連携がイノベーションをリードします。また、デジタルやAI(人工知能)技術が進展して業務の流れに組み込まれます。アプリケーションにおいても特定の領域から基幹業務にまでクラウド化が広がっています。クラウドはパブリッククラウド中心からオープンなハイブリッド/マルチクラウドになります。単純なクラウド化からハイブリッドクラウドを活用した変革の時代に突入しているのです」(今野氏)

図1 第四次産業革命の概要(出典:日本IBM提供資料)

 今野氏によると、DX第二章における取り組みで重要となるポイントは「共創が価値になること」「クラウドに求められる新たな価値」「ミッションクリティカルを支えること」の3つだ。

 「複数の業務や企業にまたがって価値を生むことがDX第二章の本質です。クラウドにも変化が求められ、運用管理の一貫性やガバナンスの確保、安全保障の観点からソブリンクラウドに関心が集まっています。一方で、パブリッククラウドの『品質』や『コスト』の面から、オンプレに戻る動きもあります。ミッションクリティカルなハイブリッドクラウドを目指すには、『品質を強化』することが重要なのです」(今野氏)

図2 DX第二章の概要(出典:日本IBM提供資料)

 このような状況を受けて、日本IBMは、「ハイブリッドクラウドで顧客や業界そのものを変革すること」を目指しているという。具体的には、マルチなアプリケーションやソフトウェア、インフラストラクチャ、マルチクラウド、オンプレミス、エッジなどを統一的に管理する。

 これらを実現するのが「IBM Cloud」だ。今野氏によると、IBM Cloudの強みは「Enterpirse Grade Cloud」「Security Leadership」「Open Hybrid Cloud Service」の3つだ。

 Enterpirse Grade Cloudでは、「IBM Power」や「IBM Z」など、これまでのサービスを引き続き強化する。また、金融サービスを中心にインダストリークラウドを強化していく。

 Security Leadershipでは、提供するデータセンターが国内外のレギュレーションを満たし、業界最高水準の暗号化技術「FIPS 140-2 Level 4」にも対応することがポイントだ。FIPS 140-2 Level 4では、データセンターのオペレーターがユーザーのデータを閲覧できず、データの保管や通信、処理のあらゆる瞬間を暗号化して保護する。

 Open Hybrid Cloud Serviceでは、オープンテクノロジーをコアとしてクラウドベンダーロックインを排除するとともに、「Kubernetes」をベースとする「Red Hat OpenShift」が標準化され、可搬性の優れたサービスを提供する。また、分散クラウドとして「IBM Cloud Satellite」も提供する。さらに国内のコンテナ化推進を目的に、コンテナ共創センターを開設してコミュニティー活動を含めさまざまな活動を展開する予定だ。

図3 IBM Cloudの強み(出典:日本IBM提供資料)
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