IDCは国内企業のIoTの活用に関する調査を実施した。同調査から多くの企業が取り組んでいるにもかかわらず、目的達成度が低い分野が見えてきた。
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IDC Japan(以下、IDC)は2022年12月13日、国内企業のIoT(モノのインターネット)の取り組みに関する調査結果を発表した。
同調査は、国内企業のIoTの利用動向や推進目的、課題などを探るため、327社を対象に2022年8月に実施した「IoT担当者調査」の結果をまとめたものだ。
今回の調査では、IoTに取り組み中の企業は、メインのIoTプラットフォームとしてクラウドベンダーのIoTプラットフォームを利用しているケースが最も多いことが明らかになった。
IoT活用の取り組みが情報収集や検討段階よりも進んでいる企業のうち、21.5%が「最も活用しているIoTプラットフォーム」として「クラウドベンダーのIoTプラットフォーム」と回答した。
2021年に実施した調査では同様の回答が占める割合が1割程度だった。クラウドベンダーのIoTプラットフォームの利用が進んでいることが分かった。
IoTの導入目的別に「IoTの導入目的に対する達成度」をみたところ、「ほぼ想定通りに達成している」との回答が「物流、サプライチェーンの改善」では31.4%だった。一方で、同様の回答は「従業員の生産性や満足度の向上」では10.0%、「経営戦略や事業計画の策定、売上予測」では13.9%にとどまった。
「物流、サプライチェーンの改善」では取り組みが進展している企業の割合が高いのに対して、「従業員の生産性や満足度の向上」では低く、「目的達成度の差につながった」とIDCは分析している。
「経営戦略や事業計画の策定、売上予測」では取り組みが進展している企業の割合が高いにもかかわらず、目的達成度が低い。「IoT導入後のデータ活用などの段階に課題がある」とIDCはみている。
IoTに取り組む企業は、SIer(システムインテグレーター)にビジネス上の問題解決やコンサルティング能力などを期待していることが分かった。
IoTの取り組みに最も深く関わっている事業者として「大手SIer、ITサービス事業者」と回答した企業のうち、事業者を選定する上で重視する点として「ビジネス上の問題解決、コンサルティング能力」を挙げた企業の割合は約54%と、全体の回答者に占める割合の4割弱よりも高かった。
IDCの山下頼行氏(コミュニケーションズ リサーチマネージャー)は「IoTプロジェクトでは、SIerはプロジェクト管理能力や調整力に加え、自身のDX(デジタルトランスフォーメーション)の実践経験などを踏まえ、ビジネス上の課題解決につながるコンサルティングを含むサービスを提供すべきだ。その際、IoT導入が売上向上やコスト削減などの顧客の目的に資するかどうかを見極め、適切に助言することが重要だ」と述べた。
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