アマゾンが倉庫作業を自動化へ 新型ロボットシステムを試験導入Supply Chain Dive

アマゾンは、これまで作業員が苦労して行っていた倉庫内作業をロボットに任せる自動化によって、効率アップとコスト削減を目指している。倉庫拡張後のコスト増に悩む同社を救う一手となるか。

» 2022年12月23日 16時50分 公開
[Max GarlandSupply Chain Dive]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

Supply Chain Dive

 Amazonは2022年11月中旬、個々の商品を検知や選択、処理できる新たなロボットシステムを試験的に導入していると発表した。同社の倉庫でこうした機能を持つロボットが使われるのは初めてのことだ(注1)。

1日当たり1300万個以上の荷物をいかに効率的にさばくか

 Amazonによると、「Sparrow」と名付けられたこのシステムは、コンピュータビジョンとAI(人工知能)を活用することで何百万もの多様な商品を扱うことができるという。Sparrowが包装前の商品を運ぶことで、作業員は反復作業から解放される。

 「Sparrowはまだ研究開発段階だ。大規模に展開する前に検討している点がある」と広報担当のザビエル・ヴァン・チャウ氏は述べている。

 Amazonは近年、フルフィルメントネットワーク(注2)の拡張によるコスト増に苦しめられており、効率を最大限高める必要がある(注3)。2021年の実績では1日当たり1300万個以上の荷物をピッキングや収納、梱包している。Sparrowを活用することでこうしたフルフィルメントプロセスを自動化し、効率アップを狙う。

 Sparrowの発表会では「ロボティクス技術を活用することで、作業員は汗を滴らせながら一生懸命作業するのではなく、スマートに働くことができ、効率的かつ安全なオペレーションを実現できる」と説明された。Amazonは現在の作業効率の問題が表面化するはるか前から、自動化を視野に入れていた。

 2012年にロボット開発を手掛けるKiva Systemsを買収し、注文数の急激な変化にも応じることができるよう、施設内でより大きなロボットを扱うようになった。2022年6月時点で、52万台以上のロボット駆動装置と十数種類のロボットシステムを導入している(注4)。

 Amazonは「当社はあらゆる形やサイズの数百万にもおよぶ商品を扱っている。これらを処理するために新たな技術を開発する必要があった」と述べた。こうして開発されたSparrowは、他の機械を補う機能も果たしている。Sparrowが処理、梱包した商品を「Robin」や「Cardinal」など既存のロボットアームを使って配送前に倉庫内で方向転換させている(注5)(注6)。

 小包を仕分けるロボットに投資する企業はAmazonだけではない。FedEx Expressは米テネシー州メンフィスにあるワールドハブで、ロボットアームを使って小包や手紙を処理している(注7)。国際輸送物流会社DHLのeコマース部門は、米アトランタの配送センターにAI(人工知能)を搭載した仕分けロボットの「DoraSorter」を導入し、処理効率を高めることに成功した(注8)。

(注1)Amazon introduces Sparrow―a state-of-the-art robot that handles millions of diverse products(Amazon)

(注2)顧客からの受注受付から商品のピッキング、梱包、発送、返品・交換対応などのアフターサービスまでの一連の過程を受け持つネットワークのこと。
(注3)Amazon’s cost savings plan runs into holiday pressures(Supply Chain Dive)
(注4)10 years of Amazon robotics: how robots help sort packages, move product, and improve safety(Amazon)
(注5)Robin deals with a world where things are changing all around it(Amazon)
(注6)Amazon unveils first fully autonomous mobile robot(Supply Chain Dive)
(注7)FedEx installs robotic arms for automated parcel sorting to handle rising e-commerce volume(Supply Chain Dive)
(注8)Robotic sorters raise throughput at DHL’s e-commerce division(Supply Chain Dive)

(初出)Amazon tests new robotic system to improve warehouse efficiency

© Industry Dive. All rights reserved.

注目のテーマ