GoogleがGPT-3開発メンバーらのスタートアップと提携、解釈可能で操作可能なAIシステムを目指す

GoogleはAnthropicとパートナーシップを締結した。AnthropicはGPT-3開発メンバー立ち上げた既存AIの弱点を補うAI開発を目指す企業だ。

» 2023年02月07日 05時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 Google Cloudは2023年2月3日(現地時間)、Anthropicとのパートナーシップを締結すると発表した。Anthropicは「解釈可能で操作可能なAI(人工知能)システム」の開発を進めるスタートアップ企業だ。同社はGoogle Cloudを優先クラウドプロバイダーとして選択し、「信頼性の高いAIシステム」を構築するために必要な計算能力を提供する。一方のGoogle Cloudは、AnthropicがAIシステムの学習と展開に使用する大規模な次世代TPU(Tensor Processing Unit)とGPUクラスタを構築する予定だ。

 ここのところ、いわゆるビックテックのAI投資が本格化している。Googleは2012年にニューラルネットワークを使った画像判定で優れた成果を出したり、囲碁AI「AlphaGo」では囲碁で人間に勝利するなど、もともとAI研究で先行してきた。ここ数年はMicrosoftもOpenAIプロジェクトを支援し、その成果を自社製品強化に活用し始めている。

AnthropicがWebサイトで研究の方向性として示している論文の一つは人間が作成した敵対的な入力に対して、言語モデルのどの安全技術がより堅牢であるかを探る内容だ(出典:コーネル大学の論文アーカイブ)

Anthropicが目指す「解釈可能で操作可能なAIシステム」とは

 Anthropicは、言語モデル「GPT-3」や人間のフィードバックを使う強化学習「RLHF」(Reinforcement Learning from Human Feedback)といったAIのブレークスルーを支えたチームが、2021年1月に設立した企業だ。

 同社は、大規模なML(機械学習)システムに関する深い専門知識と、AIの安全で有益な開発に関する共通の価値観を持つパートナーとして、Google Cloudを選んだとしている。Googleの機械学習システムを活用することで、Google検索や「YouTube」と同じインフラ上でAIを継続的に研究する。

 Anthropicは2023年、「Claude」と呼ぶ言語モデルアシスタントを皮切りに、技術の一般公開を開始する予定だ。Claudeを展開するために幅広い初期パートナーと協力しており、今後数カ月でアシスタントへのアクセスを拡大するとしている。

 ClaudeはGoogle Cloudで稼働し、Anthropicが構築したさまざまな安全技術とRLHFを組み合わせて、予測可能で制御可能、解釈が容易なAIシステムを構築する。AnthropicのCEOを務めるダリオ・アモデイ氏は、今後数カ月で、Googleとの提携によってシステムをスケールアップするとしている。

 Google CloudのCEOを務めるトーマス・クリアン氏は、「AIは学術研究から進化し、技術革新の最大の原動力となった。あらゆる業界で、成長とサービス向上のための新たな機会を生み出している。当社は、次世代のAIスタートアップ企業にオープンなインフラを提供しており、Anthropicとのパートナーシップは、ユーザーと企業が信頼と責任あるAIの力を活用できるよう支援する事例だ」と述べている。

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