業務データをAIが自動加工と分析 中堅・中小企業の業務アプリに組み込む――大塚商会AIスタートアップの技術を活用

大塚商会は中堅・中小企業のバックオフィス向け業務アプリケーションにAI機能を標準実装する。データサイエンティストを置けない企業でも、業務データの整備などの手間をかけずにAIから予測や最適化の示唆を受けられるようになる。

» 2023年02月08日 07時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

 大塚商会とdotDataは2023年2月6日、大塚商会の「DX統合パッケージ」にdotDataのAI(人工知能)機能を標準実装すると発表した。

 dotDataはビジネスデータの分析と特徴量抽出を得意とするAIスタートアップ企業だ。ERP(Enterprise Resource Planning)などのデータから関係性を示唆したり、新たなKPI(主要業績評価指標)となり得る指標を示唆したりといった用途で活用されることもあり、人間の思考の制約を超えたヒントを得られるなどの特徴がある。

 大塚商会はこの取り組みの第1弾として、販売管理に関する各種データを活用した商品別の需要予測機能の提供を、2023年6月に開始する予定だ。

業務データを自動で分析、どの業務領域に適用できるか

 大塚商会とdotDataは2022年4月に、中堅・中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)とAIを加速するというビジョンを共有し、戦略的アライアンスを発表していた。dotDataを利用することで、大塚商会のDX統合パッケージを利用する中堅・中小企業は、データサイエンスの技術知識やスキルがなくても、日々の業務の中でAIによる判断や支援を受けて業務の効率化や高度化を進められるとしている。

 大塚商会のDX統合パッケージは、販売や会計、人事給与、ワークフロー、文書管理など、中堅・中小企業のバックオフィスのDXに向けたプラットフォームだ。従来独立していた基幹系システム(SMILEシリーズ)と情報系システム(eValueシリーズ)のデータベースを統合してデータ活用しやすい設計になっている。今回の連携はこのDX統合パッケージを通じて、社内に蓄積されている業務データに対してdotDataを自動的に連携させ、AI機能を提供する。

 ユーザーは、dotDataを使うことでデータの準備や加工、機械学習モデルの構築などの作業を意識することなく、「商品需要予測」「販売数予測」「人員適正配置」といった分析を利用して業務戦略施策につなげられる。AI機能は大塚商会が管理するクラウドで展開するため、運用する手間は掛からない。

 大塚商会とdotDataは今後、DX統合パッケージ内でさまざまなデータ分析の結果を活用できるユースケースを追加する予定。AIを意識することなく、データ分析に関する専門知識がなくても、AIが導き出したインサイトを業務にシームレスに利用できるサービスを実装し、中堅中小企業のバックオフィス全体のDX加速とAIの民主化を支援するとしている。

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