プライベートブランド商品の戦略的市場投入に向けてPPIHがライフサイクル管理向けのIT投資を決断した。季節ごとの商品開発と販売計画などのプロセス全般を一貫して管理して最適化する体制を整える狙いだ。
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小売店「ドン・キホーテ」などを運営するパンパシフィック・インターナショナル・ホールディングス(PPIH)が、自社プライベートブランド商品の企画および調達業務効率化を目的に、小売り向け製品ライフサイクル管理(PLM)ソリューション「Centric PLM」を導入する。2023年2月28日(現地時間)にCentric PLMの提供元であるCentric Softwareが発表した。
PPIHは今後、商品計画から商品仕様、見積り、副資材および関連ドキュメント管理、企画および生産進捗、取引先までを一元管理する商品情報のプラットフォームを構築する計画だ。
PPIHの上席執行役員でPB事業統括責任者の森谷健史氏は、Centric PLM導入を決定した理由として「製品の標準機能が充実しており、コーディングなしですぐに機能を使えることに加え、Centric Softwareは小売業界におけるノウハウとコンサルティング実績が豊富」であることを挙げた。
Centric Softwareは米国を本拠とするソフトウェア企業で、顧客にはMizuno USAやCrocs、Mark Jcobsなどが名を連ねる。
PPIHは総合ディスカウントストアであるドン・キホーテを軸にスーパーマーケット「ピアゴ」など複数の形態の小売店を国内外に抱える。
この中でドン・キホーテのオリジナルブランド(プライベートブランド)事業はアパレルから家具、化粧品、食品、家電など取り扱い分野は多岐にわたることから、スプレッドシートによる手作業の管理では対応に限界を感じていたという。
原価企画から製造、販売、アフターサポートまでのデータを管理するPLMは機械設計などの製造業で馴染みのある概念だがCentric PLMはこれをアパレルやインテリア、食品などの業界向けに適用する。
小売り用Centric PLMはシーズンごとに大量のプライベートブランド、ホワイトラベル商品を市場投入する小売店向けの機能が豊富な点が特徴だ。
商品化に当たってのクリティカルパスを管理して、商品化に向けたリードタイム削減の方法を検討しやすくしたり、サプライヤーとのコミュニケーション機能を使い購買プロセスを簡素化する機能を持つ。また、販売計画を一元管理してKPIを可視化する。
商品企画においてはデザイナーや製造技術者、生産管理担当者やサプライヤーとの共同作業を支援し、商品テストプロセスも効率化する。SKU単位での商品バリエーション管理も可能だ。
IR情報を基にした調査によれば、PPIHは日本の小売業界においてセブン&アイ、イオン、ファーストリテイリングに告ぐ第4位の売上高をほこる(注)。
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