Snowflakeでアプリ開発? 進化を遂げるDWHの最新技術動向(2/2 ページ)

» 2023年03月13日 07時00分 公開
[吉田育代ITmedia]
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Snowflakeでのアプリケーション開発を実現する“Snowpark”

 3つの側面、最後はSnowflake上でのアプリケーション開発だ。Snowflakeがここに注力するようになったのは、“新しいアプリケーションもデータを活用したい”というニーズを受けてのものだった。Snowflakeの外でアプリケーションを開発すると、データがアプリケーションごとでサイロ化してしまう。

 こうした問題を解消し、ガバナンスを効かせたデータ活用を実現するためにSnowflakeが提供するのが、Snowflake上でアプリケーションを開発できるフレームワーク「Snowpark」だ。SnowparkはPythonやJava、Scalaなどのプログラミング言語に対応しており、サーバ側ではPython、Javaなどのランタイムもホスティングできる。パブリックプレビューは2022年6月に始まり、それ以来採用件数が6倍という勢いで伸びている。

Snowflake上でのアプリケーション開発を実現するSnowpark(出典:Snowflake発表資料)

 「Snowparkで開発した『Apache Spark』のパイプラインを、Snowflakeにビルドインすることで、2倍、4倍、場合によっては10倍もデータ分析が高速化したり、コストを半減させたりできます。経済性を改善し、パイプラインの高速化も図ることが可能なSnowparkをSnowflakeでぜひお試しください」(クライナーマン氏)

Snowflakeユーザーとして果実を手にしたNTTドコモとデータX

 基調講演には、Snowflakeユーザーの日本企業2社も登場した。NTTドコモとノーコードマーケティングツール「b→dash」で知られるデータXだ。

 NTTドコモは「dポイントクラブ」を運営しており、会員数は9200万人、「dポイント」利用数は約2900億ポイントに上る。dポイントを介した顧客やパートナーとの連携が、主軸事業となりつつあった同社だが、当時はまだデータ基盤がオンプレミスベースで「開発が遅い」「性能が出ない」「使いたいツールが使えない」など、現場で不満の声が上がっていた。

 同社はそこで、この分野で先進的な企業はどこかと調査を進め、データ活用に対する企業ビジョンと充実したガバナンスの面からSnowflakeを採用した。今では、Snowflake Data Drivers AwardsのDATA DRIVER OF THE YEARを、日本部門だけでなくアジアパシフィック部門でも受賞している。

NTTドコモの日影浩隆氏

 NTTドコモの日影浩隆氏(情報システム部 データ基盤担当 担当部長)は「Snowflake上で、利用者から要望が挙がったツールをなるべく早く用意し、つなげばすぐ利用できることを目指しています。こうした形に変えたことで、オンプレミスだったときのユーザー数に1年足らずで追い付きました」と話す。

 一方のデータXはサービス規模が拡大するにつれて、パフォーマンスやコスト、システムメンテナンスに日々神経をとがらせていた。ビッグデータ基盤を何とかしたいと検討したときに出会ったのがSnowflakeだった。3年前にこれを採用した結果、大規模なクエリが1〜2時間程度で処理できるほどパフォーマンスが改善し、コストに関しても平均30〜40%削減し、フルマネージドになったことで運用人員も削減できた。

データXの井戸端 洋彰氏

 データXの井戸端 洋彰氏(執行役員 CTO)は「Snowflakeを採用したことで、顧客からも『パフォーマンスが向上した』という声をいただいており、社内でも開発やSREのメンバーなどから『業務がシンプルになった』と喜んでもらえた」と語る。

データ、洞察、プロダクトとサービスに注力を

 クライナーマン氏は講演の最後に「なぜSnowflakeなのか。なぜ他のものではダメなのか。その答えは私たちのアプローチにあります。それは単一の統合されたプロダクト、シンプルさに注力したプロダクトを提供しているということです。全ての作業やソフトウェアが今後どう進化するかということも私たちが考えます。顧客にはデータモデルや洞察、プロダクトとサービスの改善に注力してほしいのです」と語る。

 「Snowflakeのプラットフォームは今後も進化し、機能を強化していきます。強調したいのはコンテンツの重要さです。マーケットプレースにはデータセットプロバイダーが多くいて、その数は増え続けています。これらのプロバイダーによって、より速いML(機械学習)のソリューションやリッチなアプリケーション開発がますますはかどるようになるでしょう」(クライナーマン氏)

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