Databricks Model Servingが正式リリースに

機械学習モデルのデプロイメント品質やデータガバナンス維持を助ける機能群を追加した。機械学習を使ったアプリケーションの開発や運用のコストを削減できるという。

» 2023年03月14日 07時16分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 Databricksは2023年3月7日(米国時間)、「データブリックスモデルサービング」(Databricks Model Serving)の一般提供を開始した。

 レイクハウスプラットフォームの各種機能と統合しており、テスト段階からトレーニング、本稼働環境まで、機械学習ライフサイクルを通じたデータとモデルリネージ、ガバナンス、モニタリングが可能だ。これにより、パーソナライズされたレコメンデーションや顧客サービスのチャットbotなど、ビジネス全体でリアルタイム機械学習システムを統合できるとしている。

 同社は「統一されたデータおよびAIプラットフォーム上で開発された初のサーバーレスリアルタイムサービングソリューション」だとしている。

Databricks Model Servingの一般提供開始をアナウンスするDatabricksのブログ(出典:DatabrticksのWebサイト)

データの整合性、ガバナンスを意識したモデルサービング機能の3つの特徴

 Databricksは「AIや機械学習を活用することで、企業はデータからインサイトを発見し、ビジネスに新たな価値をもたらす正確な予測を即座に実行してAI主導の新しい顧客体験を提供できる。だが、リアルタイム機械学習システムの導入には、需要に応じて動的に拡張できるインフラを設計、維持する機械学習の専門家にかかる負担が大きい」と指摘する。

 Databricks Model Servingは、機械学習モデルを活用したアプリケーション向けのインフラ構築や運用にまつわる煩雑な作業を解消するための機能群で、同社が提供するデータ活用基盤「レイクハウスプラットフォーム」内でネイティブに動作する。

 同社の統合ガバナンスソリューション「Unity Catalog」や、特徴量ストアの「Feature Store」、同社が独自に開発したオープンソースプラットフォームの「機械学習flow」などの機能を組み合わせたレイクハウス全体でネイティブな統合環境を提供することで、こうした機械学習モデル運用の課題を解消する。各機能の概要は以下の通りだ。

Feature Store

 Feature Storeはオンラインとオフラインの偏りを防ぐために、自動でオンラインルックアップを実行する機能だ。モデルのトレーニング中に一度特徴量テーブルを作成すると、関連するテーブルを自動的に取得して、結合する。

機械学習flow

 機械学習flowは「機械学習flowモデル」のレジストリにネイティブに接続してモデルを迅速にデプロイするための機能だ。基礎となるモデルを用意しておけば、モデルのデプロイメントのたびに自動的に本稼働環境で使える状態のコンテナを準備できる。

Unity Catalog

 Unity Catalogは統一されたデータガバナンス機能を提供する。モデルサービングが生成するものを含む全てのデータと機械学習のアセットをUnity Catalogで管理、制御できる。

 Databricks Model Servingは現在、「Amazon Web Services」と「Microsoft Azure」で利用できる。

 Databricksの共同設立者でエンジニアリング担当バイス・プレジデントを務めるパトリック・ウェンデル氏は、Databricks Model Servingによって「より多くのモデルをより短い時間で本稼働環境に導入でき、総保有コスト(TCO)も削減できる」と述べている。

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