中小企業の情シスはなぜMicrosoft 365をフル活用できないのか SCCloud 365の提案

SaaSは情報システム担当者の工数削減に寄与するとされるが、便利にメリットを享受できているかは別問題――。情シス不足の中堅・中小企業を支えるとするサービスが登場した。

» 2023年03月24日 15時30分 公開
[荒 民雄ITmedia]

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 ソフトクリエイトは2023年3月23日、中堅・中小企業における「Microsoft 365」活用支援と情報システム担当者向けの各種サービスを提供する「SCCloud 365」を発表した。

 SCCooud 365は、情報システム担当者の不足に課題を持つ中堅・中小企業に向けてMicrosoft 365の各種機能の活用やセキュリティ対策、情報システム担当者支援を低価格で包括的に提供するサービスだ。

SCCloud 365のサービス内容(出典:ソフトクリエイト提供資料)

便利でも安くても、使いこなせなくては意味がない

 「Microsoft 365 Business Premium」をベースに、AvePointの協力を得てSaaS型のバックアップ機能を織り込み、さらにメールベースで情報システム担当者の相談を受け付ける「Microsoft 365相談所」を設ける。ポイントはこれらのサービスをMicrosoft 365 Business Premiumの標準価格と同じ金額(月額2390円/ユーザー)で利用できる点だ。

 Microsoft 365 Business Premiumには「Teams」などのビジネスアプリケーションの他、「Exchange Online」や「Azure AD」、デバイス管理とセキュリティ管理を担う「Microsoft Intune」、EDR機能である「Windows Defender for Business」などの情報システム管理向けの機能も含まれる。SaaSならではの特徴としてサービスのアップデートが早い。情報システム部門の工数を削減する機能も多数盛り込まれる。

 ソフトクリエイトはMicrosoft 365の販売パートナーとして「現在約800社の顧客を支援する」(ソフトクリエイト 社長の林宗治氏)が、「人手不足が課題になりがちな中堅・中小企業にとっては便利な機能があっても情報追従が難しかったり、新機能を自社の業務課題に適用させるためのノウハウが不足しがちだったりと、十分に使いこなせない企業が多い」(同氏)という。こうした状況に加えて、情報セキュリティマネジメントにおいてはSaaSのビジネスデータの適切なバックアップ体制も求められるが、人手が足りない企業が対応することは難しい。

 林氏は「テレワークの進展により中小企業におけるテレワーク導入は進んでいるものの、それ以外の取り組みは進んでおらず、ハイブリッドワークなどの組織をより良い形に変える変革の実現に向けたIT施策には至っていない」と指摘する。

 同社はこれまでも顧客企業向けに情報交換の場としてユーザーコミュニティを立ち上げ、利活用セミナーを実施してきた。今回の取り組みはさらに踏み込んで、具体的に対応すべき施策を推奨構成で提供し、同社が持つMicrosoft 365の最新情報やその活用方法を、相談所を通じて顧客企業に提供する。

 バックアップにおいては、AvePointが提供するクラウド型データ管理ソリューションのうち、バックアップ機能を提供する。バックアップ対象はTeams以外の任意のデータを設定可能で、ソフトクリエイト推奨の構成でバックアップ設定を利用できる。バックアップデータは「Microsoft Azure」に格納され、任意のファイル単位で利用者自身がリストア可能だ。バックアップは1日最大4回、自動で取得できることから事業継続性を高められるとしている。

 ソフトクリエイトは今後3年間で300社へのSCCloud 365導入を目指すとしている。

製品発表会見には日本マイクロソフト 執行役員コーポレート戦略統括本部長兼パートナー事業本部長の本田正樹氏(写真右)やAvePoint Japan 代表取締役 塩光 献氏(写真左)が参加した。写真中央はソフトクリエイト 社長の林 宗治氏

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