セキュリティ版ChatGPT？ MSが専門家支援を目的とした「Security Copilot」を発表

Microsoftはセキュリティ専門家のサポートを目的としたAI技術を活用した新しいサービス「Microsoft Security Copilot」を発表した。これまで数時間から数日かかっていた調査期間が数分といった単位まで短縮できる可能性がある。

[後藤大地，有限会社オングス]

　Microsoftは2023年3月28日（現地時間）、ジェネレーティブAI（人工知能）技術と大規模言語モデルを活用した新しいセキュリティ支援機能「Microsoft Security Copilot」（以下、Security Copilot）を発表した。

　Security Copilotはサイバー攻撃の対策で不足するセキュリティ専門家の業務サポートを目的にしており、インシデント調査の効率化や脅威アクターの動向予測などを支援して専門家のスキルを向上させる。今後、サードパーティー製アプリケーションやサービスとの連携も展開する予定だ。

MicrosoftはAIによるセキュリティ支援ソリューションSecurity Copilotを提供する（出典：MicrosoftのWebサイト）

GPT-4を活用したセキュリティ支援機能とは？

　昨今、サイバー攻撃は多様化および巧妙化を続けている。こうした状況に対して企業におけるセキュリティ専門家の数は不足していると考えられており、防御側に不利な状況が続いている。

　Security Copilotは、Microsoftが取り組んでいる「GPT-4」の技術をセキュリティ分野に応用したものであり、セキュリティ専門家をサポートすることでこうした状況に対応する狙いがある。

　Security Copilotが提供する主な機能は以下の通りだ。

• セキュリティインシデントに対する調査を自然言語ベースで実施可能。これまで数時間から数日といった時間が必要だった分析時間を数分といった単位まで短縮できる。プロセスやイベントを素早く要約し、重要なステップバイステップのガイダンスとコンテキストを提供し、目的のオーディエンスに合わせたレポートの生成を支援する
• サイバー攻撃者はさまざまな隠蔽（いんぺい）工作を試みる。Security Copilotはグローバルな脅威インテリジェンスに基づく継続的な推論によって脅威アクターの動きを予測し、検出が難しい悪意ある動作や脅威シグナルを検出する
• セキュリティ関連の質問に関して基本的なものから複雑なものまでさまざまな質問に対して答えを提供してセキュリティ専門家のスキルを向上させる
• ユーザーの操作から継続的に学習し、企業の好みに適応し、結果を達成するためにより優れたアドバイスを提案する

　Security Copilotが提供する回答は必ずしも全てが正しいとは限らないが、学習を繰り返すことでこうしたミスを減らしていけるとされている。今後はサードパーティー製のアプリケーションやサービスとの連携にも取り組んでいくとしており、セキュリティ関連の機能を使う際の重要なサービスになっていくとみられる。