ビデオ会議ツールが自動車や映画館にも導入されることで、いつでもどこでもミーティングができるような環境が実現し始めている。これにはメリットも多いが当然、デメリットもあるだろう。
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Mercedes-BenzのEクラスが「Cisco Webex」(以下、Webex)の機能を統合することで、オフィスへの拡張が可能になると、Cisco Systemsが2023年2月26日(現地時間)に発表した(注1)。
Webexを搭載した車には、バックグラウンドのノイズキャンセリングやハンズフリーで会議に参加する機能、通信帯域の状態を検出する機能が搭載される(注2)。走行中のミーティングは音声のみとなる。Mercedes-Benzによると、「Zoom」によるビデオ会議とWebブラウザの「Vivaldi」も利用できるようになる(注3)。
Mercedes-Benzとの提携は、Webexがモバイルオフィスの分野に踏み出すための新たな一歩となる。2022年、Ford Motorは最新のEVにWebexを追加すると発表した。Webexは「Apple CarPlay」やトヨタ自動車のスマートデバイスリンクでも利用可能だ(注4)(注5)。
Gartnerのシニアディレクターアナリストであるマイク・ファシアニ氏は「企業の関心が高いかどうかにかかわらず、ベンダーはパートナーシップを活用し、自社のツールをより強固なものにしている。Webexとその全ての機能へのアクセスを可能な限り容易にすれば、製品競争力は高まる」と述べている。
自動車に参入しているベンダーはWebexだけではない。ビデオコラボレーションツールの競合であるZoomは、2022年11月にTeslaと提携した(注6)。また、Apple CarPlayでは、幾つかの限定的な機能を備えている(注7)。
Zoomは2022年11月に映画館チェーン「AMC Theatres」と提携し、全社的なミーティングやイベントのために映画館にまでオフィスを拡張した(注8)。
ファシアニ氏によると、定期的に現場に出向く人や現場技術者のような一部の労働者にとって、オフィスを拡張することで、日常の業務がよりコラボレーションしやすくなるという。
「エアコンの修理に来る人たちは、車両での移動中や出先でのコミュニケーションが適しているので、その点はメリットになるだろう」(ファシアニ氏)
ただしオフィスの拡張は、朝の通勤時間が長い人や出張が多い職業にとっては夢のようなものだが、一方で仕事と生活をある程度切り離したい人にとっては悪夢にもなりかねないとファシアニ氏は話した。
(注1)Welcoming Mercedes-Benz to the Webex for Automobiles Family!(webex)
(注2)Work from Home Effortlessly with Background Noise Removal(webex)
(注3)The new E-Class: dimensional concept and interior design(Mercedes-Benz)
(注4)Cisco and Ford CEOs to Discuss the Role of Technology in Transforming the Automotive Industry and How People Use Their Vehicles(CISCO)
(注5)Hybrid Work with Webex Meetings now for Apple CarPlay(webex)
(注6)Using Zoom for Tesla(Zoom)
(注7)Zoom meeting controls with CarPlay(Zoom)
(注8)Companywide Zoom meetings, coming to a theater near you(CIO Dive)
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