「.NEXT 2023」で日本企業が注目したもの Nutanixが伝えたかったこと.NEXT 2023 レポート

Nutanixの年次イベント「Nutanix .NEXT 2023」が幕を閉じた。さまざまなサービスが新たに発表される中、どのサービスが特に日本企業に注目されたのか。またNutanixはイベントを通じて何を伝えたのか。

» 2023年05月16日 08時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 Nutanixは2023年5月9〜10日の2日間にわたり、米シカゴで年次イベント「Nutanix .NEXT 2023」(以下、.NEXT)を開催した。Nutanixと聞くと「HCI」(ハイパーコンバージドインフラ)を思い浮かべる読者も多いかもしれない。

 一方、.NEXTを通じて筆者が感じたことは、Nutanixは「ハイブリッド/マルチクラウドベンダー」だということだ。「Nutanixの変化」について、ニュータニックス・ジャパン(以下、ニュータニックス)の金古 毅氏(コーポレートバイスプレジデント 代表執行役社長)と島崎聡史氏(シニアソリューションスペシャリスト)に現地で話を聞いた。

.NEXT 2023が開催されたシカゴの風景(筆者撮影)

「.NEXT 2023」で日本企業が注目したもの Nutanixが伝えたかったこと

 .NEXTはHCIを利用している企業やハイブリッド/マルチクラウドに挑戦したい企業にとって興味深いイベントになったに違いない。Nutanixにとっても.NEXTは3年ぶりの対面イベントで、新たな組織の方向性を示す意味でも重要だったといえる。金古氏はイベントを振り返り、「総勢26人のパートナーが日本から来ました。コロナ禍以降初となる対面イベントで、Nutanix側も慎重にイベントを進めましたが、結果的に有意義な時間を提供できたと思います」と感想を述べた。

 今回のイベントはこれまでの.NEXTと比較しても、新たなサービスが明確に発表されたイベントだった。島崎氏はこの点について、「Nutanixの従業員としても感じましたが、今回は明確なメッセージが数多く発信されたイベントでした」と振り返った。

 イベントで発表されたサービスの中で、特に日本企業から注目されたものとして島崎氏は「Multicloud Snapshot Technology」(MST)を挙げた。MSTは「Amazon Simple Storage Service」(AWS S3)や「Azure Blob Storage」などのS3互換オブジェクトストレージにスナップショットデータを直接書き込み、「Nutanix Cloud Platform」が実行される環境であればどこでも復元できるというものだ。同氏によれば、「クラウドのバックアップは取れないのか」というユーザーからのニーズは以前よりあったようで、それらに応えるサービスになっている。

残り続けるオンプレミス環境、Nutanixはちょうどいい?

 全ての企業が全てのシステムをクラウド環境に移行できるわけではない。実際にイベントに参加していたとあるカジノ関連企業は「規制が厳しく、データをクラウド環境に移行できないのでオンプレミスが必須です。そのような環境でNutanixは便利です」と話した。

 「米国の企業は決断力も早く、クラウド環境に挑戦してからNutanixを利用する企業も多いですが、日本企業は『そもそもクラウド移行が難しい』ためにNutanixを利用するケースが多いです。企業にとってNutanixは、まさに“ちょうどいい”サービスと言えます」(島崎氏)

 金古氏はニュータニックスの前はレッドハットでオープンハイブリッドクラウド戦略に携わっており、同氏は「Red Hatはアプリケーションレイヤーに、Nutanixはインフラストラクチャに強みを持っていたが、.NEXTの発表を見て『Nutanixもデータなどに関するアプリケーションを増やしており、両社のギャップが詰まっている』と感じました」と語った。一方、NutanixはRed hatに対して競合という認識はない。実際にイベントでも数多くの発表でRed Hatがパートナーとして発表された。あくまで業界を盛り上げるために協業を強めたい考えだ。

 ハイブリッド/マルチクラウドベンダーとしての認知を強めるNutanix。.NEXTでユーザーに大きな驚きを与えた発表の一つに、NutanixのDBaaSソリューション「Nutanix Database Service」(以下、NDB)がパブリッククラウド環境でネイティブに動くというものがある。ハイブリッド/マルチクラウドプラットフォームを実現する「Nutanix Cloud Clusters」(NC2)以外でも動くという点について、金古氏も「まさにこれが新しいNutanixの形といえます」と自信を見せた。

 金古氏と島崎氏は取材の最後に、日本市場への意気込みを以下のように語った。

 「ハイブリッド/マルチクラウド環境を日本で広げるためにも、より多くのエンタープライズにNutanixを利用してほしいと思っています。これまではアーリーアダプターな企業の方がひっそりとNutanixを利用していましたが、今後はより大きなマーケットに対して価値を提供していきます。Nutanixは企業のアジリティを高め、ビジネスを成長させる助けになります」(金古氏)

 「今後人口が減っていく日本では、以下に一人一人の生産性を高められるかが重要になります。その実現を目指しているのがNutanixです」(島崎氏)

左から金古氏と島崎氏(筆者撮影)

(取材協力:ニュータニックス・ジャパン)

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