神戸市がChatGPTの試行利用を開始 Azure OpenAI Serviceで構築した独自環境を活用

神戸市は、ChatGPTをはじめとする生成AIを庁内業務で安全に活用するため、「Azure OpenAI Service」で独自の利用環境を構築し、職員100人の試行利用を開始した。神戸市によると、生成AIの利用ルールを条例で定めるのは全国初の取り組みだという。

» 2023年06月27日 07時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

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 神戸市は2023年6月23日、生成AI(人工知能)「ChatGPT」の安全な業務利用に向け、Microsoftの「Azure OpenAI Service」を活用して神戸市独自の利用環境を構築し、同日より試行利用を開始したと発表した。

条例を基に生成AIの安全利用を開始

 神戸市はこの発表に先立って2023年5月24日にChatGPTをはじめとする生成AIを職員が業務で活用する際のルールを定めた条例改正の成立を発表していた。

 条例改正では、「神戸市情報通信技術を活用した行政の推進等に関する条例」に、安全性の確認されていない生成AIへの個人情報をはじめとする機密情報の入力を制限する条項を追加した。神戸市の調べでは、生成AIの利用ルールを条例で定めるのは全国初の取り組みだという。

 今回、生成AIを条例に基づいて安全に利用できるように、Azure OpenAI Serviceで神戸市独自の利用環境を構築し、個人情報等の保護の観点における安全性を確認したとして、職員の試行利用を開始した。

 Azure OpenAI Serviceは、ChatGPTと同じAIモデルをMicrosoft Azure環境で利用できるサービスだ。神戸市の職員が使用するコミュニケーションツールの一つである「Microsoft Teams」を活用して、Azure OpenAI Serviceを使用する。このための連携アプリは、職員が内製した。

 試行期間は2023年6月23日〜9月22日の3カ月間で、市職員約100人が対象となる。試行利用により、ChatGPTを業務利用するにあたっての課題や問題点の収集、アイデア収集や有効活用のための知識、経験の蓄積などにつなげるとしている。

 同市は、試行利用開始に先立ち、条例で定める禁止事項や利用に当たっての注意事項、上手な活用法などをまとめた「利用ガイドライン」(試行用)を策定した。今後、国のガイドライン策定などの動向も踏まえて、適宜、利用ガイドラインの改訂を進めていく。

 また、ChatGPT活用に取り組む自治体、団体向けに、利用ガイドライン(試行用)と、併せて独自利用環境用に開発したアプリのテンプレートを同市Webサイトで公開した。生成AIを安全な環境で利活用するためのノウハウを共有することで、生成AIの適切な利活用の推進、市民サービスの向上を目指すとしている。

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