ChatGPTに「人間の役割」を聞いてみた AI大活用時代に“副操縦席”に追いやられないためにすべきことデータ活用のための思考術

中だるみを感じる水曜日を乗り越えようとしている皆さまに向けて、今週は「AI大活用時代」に生き残る術を伝授します。筆者と一緒に考えるのは、最近ひっぱりだこの“あの方”です。果たしてどんな答えが返ってくるのでしょうか。

» 2023年06月28日 09時00分 公開
[永田豊志ITmedia]

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この連載について

 今やデータ分析はアナリストや研究者、コンサルタントだけでなく、一般のビジネスパーソンにも広く求められるスキルの一つとなっています。

 「そうは言っても、何から手を付ければ良いか分からない」「意気込んでデータ活用の本を買ってみたものの、“積読”(つんどく)になっている」という方に向けて、“やる気をスキルに変えるための思考術”をお届けします。

 「思考なんて回りくどいものではなく、データ活用を実践するためのツールを教えてほしいんだ」とおっしゃる方にこそお薦めしたい連載です。目まぐるしく新製品が登場したりアップデートが繰り返されるツールを上手に活用するためにも、一度身に付ければなかなかさびることのない思考方法に接することで、スキルとともにご自身の仕事の進め方も少しずつアップデートできるすべが見つかるかもしれません。

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 ITmedia エンタープライズの読者の皆さん、こんにちは。

 前回は、AIが卵より安くなる時代に必要なことについて書きました。このコラムの公開後も、生成AIに関するニュースや新サービスのローンチは日々続いています。

 筆者が経営するショーケースでも「LLM Labs」(注1)というPoC(概念実証)や企業のAI(人工知能)導入支援を行う部門を立ち上げました。

ChatGPTは「人間の役割」をどう考えている?

 今回は、こうしたAIが当たり前になる時代に人間であるわれわれに何が求められるのかを再考してみたいと思います。

 筆者がふと気になったのが、Microsoftが生成AI「GitHub Copilot」に冠した「Copilot」という名称です。筆者の会社は事業計画のことを「Flight Plan」、社長を「Captain」と呼ぶくらい飛行機好きがそろっているので、このCopilotというコンセプトを皆、とても気に入ってます。

 画像生成AIの一つである「Midjourney」で「captain」「copilot」「inflight」などのプロンプトを入力して生成したのが以下の画像です(こうした画像が素人の私にも数秒で生成できる時代です)。

captain copilot,inflight,cockpit-Variations by @TOYOSHI NAGATA.png(出典:筆者が「Midjourney」を利用して作成)

 念のためにお伝えすると、Copilotは「コパイロット」(コピロットではありませんよ)と読み、飛行機の操縦席で主任操縦士を補助する役割を果たす副操縦士を指します。

 この比喩を開発プロジェクトや制作業務に当てはめると、Copilotは開発者やディレクターの"補助"をするツールです。開発者がコードを書く際の助けとなり、エラーや問題を指摘し、可能な解決策を提案します。Copilotは開発者が効率的に、かつエラーの少ないコードを書くことをサポートするよう設計されています(実際にはソフトウェア開発のプラットフォーム「GitHub」のCopilotとして、AIを使用して開発者がコードを書く作業を支援します)。

 制作業務においては、「Microsoft PowerPoint」や「Microsoft Excel」で行う作業のかなりの部分が自動化され、かつ高品位なものとなります。筆者は仕事柄、この2つのアプリとにらめっこする時間が長くあります。それが解消される時代が訪れようとしています。

 「Microsoft 365」で提供される、そのすさまじい生産性に関してはYouTube動画をご覧ください。

 ただし、こうしたツールは副操縦士で、あくまでCaptain(主任操縦士、機長)はわれわれ人間です。それでは、飛行計画の中でCaptainが担うべきは役割は何でしょうか。この質問を「ChatGPT」に質問すると、以下のような回答が返ってきました。

  1. 全体的な飛行の管理:Captainは全体的な飛行の責任を負い、その安全を確保します。飛行計画の策定、機体の状態、天候、機内のクルーとのコミュニケーションなど、全ての要素を管理します
  2. 飛行操作:Captainは飛行機の操作を主導します。これには、離陸、飛行、着陸、緊急事態への対応などが含まれます
  3. クルーの管理:Captainは航空機のクルーを指導、管理します。これには、コパイロットや航空機内の乗務員も含まれます
  4. 決定権:Captainは最終的な決定権を持ちます。緊急事態や難しい状況に対して適切な行動を取ることが求められます
  5. 法規制の順守:Captainは国内外の航空法規を順守し、その規則に基づいた飛行を行います。

 以上のようなポイントを押さえると、AIの助けを借りてわれわれが業務や作業を行うとき、飛行機におけるCaptainになぞらえると、われわれが磨くべきスキルや役割がより明確になると思います。

ChatGPTが考える「人間の役割」とは?

 ここまでの文章におけるポイントをプロンプトとしてChatGPTに伝えると、以下のような文章が仕上がりました(最終的には筆者が再編集しています)。ChatGPTが登場して以来、文章作成のプロセスが大きく様変わりしたことがよく分かります。

プロジェクトの管理

 まず、Captainは全体的なフライト管理をします。同様に、AIがCopilotの役割を果たしているプロジェクトでは、人間は全体的なプロジェクト管理を担当します。人間が策定した計画に基づいてAIはタスクを実行し、それぞれの成果を生成します。しかし、その成果が常に最適な解決策であるとは限らないため、人間はこれらの結果を評価し、必要に応じてAIの指示を修正します。これは、Captanが航空管制からの指示を評価し、必要に応じてコースを修正することに似ています。

タスクの実行

 次に、Captainは飛行操作を主導します。AIがタスクを実行する場合でも、人間はプロジェクト全体を運営し、AIが実行するタスクを管理します。人間は必要に応じてAIの動作を調整し、それが常に目標に合致していることを確認します。これは、Captainが飛行機の操縦を管理し、状況に応じてCopilotの動作を調整することに類似しています。

AIの管理

 また、Captainは航空機のクルーを管理します。AIを活用するプロジェクトでは、人間はAIの動作を監督し、その行動を指導します。これは、Captanが乗務員の行動を監督し、必要に応じてその行動を指導することに対応します。人間はAIが適切に機能していることを確認し、その行動がプロジェクトの目標に沿っていることを保証します。

決定権とAIの使用に関する決定

 Captainは最終的な決定権を持ちます。AIがプロジェクトを助けることは可能ですが、最終的な決定は常に人間が行います。これは緊急事態や難しい状況に対して適切な行動を取ることが求められるCaptainの役割に対応します。人間はAIの提案を評価し、それがプロジェクトの目標に適合しているかどうかを判断します。そして、AIの提案が最善であると判断した場合に限り、それを採用します。

法規制の順守と倫理的なAIの使用

 最後に、Captainは国内外の航空法規を順守し、その規則に基づいた飛行を行います。AIを使用する場合、人間は同様に法規制を順守する必要があります。これには、プライバシーの保護やデータセキュリティ、知的財産権の尊重などが含まれます。

 さらに、AIの使用は倫理的な考慮を伴う必要があります。人間はAIの使用が公平で、差別を助長しないようにする責任があります。

今回のまとめ

結論:AIがCopilotとして働く時、人間はCaptanとして働く


1. AIは人間の指示に従い、その成果を生成するが、最終的な決定と全体的なプロジェクトの管理は人間の役割


2. 人間はAIの動作を監督し、その行動がプロジェクトの目標に沿っていることを保証する。さらに人間はAIの使用が法規制を順守し、倫理的に行われることを確認する。これは飛行機のCaptanが全体的な飛行を管理し、乗務員の行動を監督し、法規制を順守することに似ている

 今回は、CaptainとCopilotという比喩が人間とAIが共に作業する未来の働き方をよく表していると思ったので書いてみた次第です。では、また。

(注1)LLM Labs(ショーケース)

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

知的生産研究家、起業家、上場企業の経営者。現在、DX支援クラウドを提供する株式会社ショーケース(東証3909)とリユースモバイル事業を運営する日本テレホン株式会社(東証9425)、2社の上場企業の経営者。

企業経営と並行し、新規ビジネス開発、働く人の生産性向上をライフワークとした執筆、講演活動などを行う。

自著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』(ソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)、『会社では教えてもらえない仕事がデキる人の資料作成のキホン』(すばる舎刊)がある。

著書一覧:https://www.amazon.co.jp/s?k=%E6%B0%B8%E7%94%B0%E8%B1%8A%E5%BF%97

連絡先: nagata@showcase-tv.com

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