生成AIブームの勝者になるには何が必要か Palo Alto NetworksのCEOが語るCybersecurity Dive

Palo Alto Networksは生成AIの展開に慎重な姿勢を採っているが、この技術がサイバーセキュリティにとって大きな転機になると信じている。

» 2023年07月09日 07時00分 公開
[Matt KapkoCybersecurity Dive]

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Cybersecurity Dive

 Palo Alto Networksは、生成AI(人工知能)を自社製品やワークフローに組み込むために、1年以内にセキュリティ用に独自の大規模言語モデル(LLM)をリリースする予定だと、CEOのニケシュ・アローラ氏は2023年5月22日週に実施された同社の決算説明会で述べた。

 サービス全体でAIを使用しているこのサイバーセキュリティベンダーは、生成AIによる検出と予防の改善、データセットとテレメトリーを使用した顧客との対話および内部プロセスと運用の改善に注目している。

2年以内に生成AIを使った変革が起きる

 アローラ氏は、同社の決算説明会のために用意したスピーチの最初の2分間で生成AIに言及しており、その瞬間には強い臨場感があった。彼は、その後スピーチの中で「AI」に32回言及した。

 Palo Alto Networksは生成AIに対してより抑制的なアプローチをとっている。つまりMicrosoftやGoogleのように(注1)、この技術に基づく新製品を迅速にリリースしているわけではないが、Palo Alto Networksのリーダーたちは、生成AIが業界における大きな転機の先駆けになることを確信しているに違いない。

 「Palo Alto Networksだけでなくエンタープライズソフトウェア業界全体でも、今後12〜24カ月の間に生成AIを利用した変革が起こると考えている。これは私たちが直面する真のチャンスであり挑戦でもある。半分の人は間違った結果を引き起こすだろう。しかしできれば私たちは歴史を振り返ったときに『正しい半分』でありたい」(アローラ氏)

 Palo Alto NetworksはLLMに自己学習させるのではなく、特定のセキュリティに関連する用途やタスクを構築して使用する独自のAIモデルを導入する計画だ。独自のデータを使用してこれらの機能をどのように構築できるかを把握するために、公開されている全てのオープンソースのAIモデルと連携して作業している。

セキュリティに対して生成AIがもたらすもの

 ほとんどの企業がまだ完全に実現できていない生成AIの利点は、データに迅速にアクセスし、それを要約する能力にある。しかしアローラ氏によると、その理解力や対応力を生成するデータセットのサイズが重要だ。

 アローラ氏は「生成AIは大規模なデータレイクと大規模な投資が可能な資金力を持つ企業に有利であり、当社にはその両方と、それらを活用する意図を持っている」と話す。

 同社は現在約20億ドルの現金資産を保有しており、2023年4月30日に終了する2023年度第3四半期に17億ドルの売上高と1億800万ドル近い純利益を計上した(注2)。

 Palo Alto Networksはサイバーセキュリティ市場の一部の競合他社よりも生成AI製品のリリースを遅らせているが、アローラ氏は、(生成AIの利点を生かして事業を成長させる)絶好の機会は2025年半までだろうとコメントしており、同社は新しい機能を早期に提供する必要に迫られている。

 「業界内のあらゆる会話で聞かれるように、私たちは生成AIに取り組み始めたばかりであり、それを理解してプロセスを見直している。しかし、そこには確かに何かがあると信じている」(アローラ氏)

(注1)Microsoft unveils Security Copilot built on GPT-4(Cybersecurity Dive)
(注2)UNITED STATES SECURITIES AND EXCHANGE COMMISSION Washington,D.C.20549 FORM 10-Q(U.S. Securities and Exchange Commission)

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