セキュリティ業界における資金調達額が大幅に減少、ベンダーにもたらす影響は?Cybersecurity Dive

インフレと景気後退に対する懸念によって、第2四半期のサイバーセキュリティ業界における資金調達額が大幅に減少した。こうした市場の混乱の影響で人員削減を余儀なくされた企業もある。

» 2023年08月13日 08時00分 公開
[David JonesCybersecurity Dive]

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Cybersecurity Dive

 ハイクラス転職エージェントであるPinpoint Search Groupのレポートによると(注1)、景気後退への懸念と銀行業界の混乱がテクノロジーやセキュリティ全般に対する投資に影響を与え、第2四半期のサイバーセキュリティ業界における資金調達額は5割以上減少し、19億ドルとなった。

 資金調達額が43億ドルを記録した2022年の第2四半期から55%減少した形である。資金調達総額は減少したものの、資金調達ラウンド数は97件となり、2022年の第2四半期の92件から増加した。

景気後退がセキュリティベンダーにもたらす影響とは?

 Pinpoint Search Groupの創設者兼マネージング・パートナーであるマーク・サッソン氏は「インフレと景気後退への懸念は、セキュリティ業界の資金調達額の減少における大きな課題だ。インフレに対する懸念とそれに続く金利の上昇によって、投資コストが一夜にして急騰した」と述べた。

 Pinpoint Search Groupは、サイバーセキュリティ業界における雇用動向やその他の経済的影響を追跡してきた。直近の数カ月で、CrowdStrikeやMicrosoftをはじめとする大手セキュリティプロバイダーは、企業の顧客が取引するベンダーの数を統合しようとしている(注2)(注3)。

 この統合には、全体的なコストを削減にするという目的もあるが、それ以上に、使用しているセキュリティアプリケーションの数を減らす目的がある。これらのアプリケーションの多くは適切な相互連携ができず、しばしば誤ったセキュリティアラートが発生し、セキュリティオペレーションチームの疲労につながっていた。

 第2四半期の資金調達としては、シードファンディングが全体の約45%を占めた。四半期ごとのシード投資額の平均は500万ドルだった。

 資本市場の混乱によって、サイバーセキュリティ事業を営むDragosのような他の企業も難しい人員削減を実施しなければならなかった(注4)。

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