「倉庫いっぱいのチョコレート」を半減 倉庫管理と配送見直しの“効力”Supply Chain Dive

メーカーや小売事業者にとって在庫管理は大きな課題だ。ある大手チョコレートメーカーが倉庫管理と配送方法を見直すことによって在庫を46%削減することに成功したという。

» 2023年08月25日 08時00分 公開
[Max GarlandSupply Chain Dive]

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Supply Chain Dive

 食品メーカーにとって在庫管理は頭の痛い問題だ。

 米国の大手チョコレートメーカーであるRocky Mountain Chocolate Factoryの取締役兼CEO(最高経営責任者)であるロブ・サールス氏は声明で「倉庫管理や製造、輸送、その他の業務に関わるコスト削減を予定より早く進めている」と述べ、前四半期に導入した年間コスト削減目標の60%をすでに達成したことを発表した(注1)(注2)。

在庫を「46%削減」した倉庫管理と配送方法の見直し

 在庫管理と需要計画の改善によって、Rocky Mountain Chocolate Factoryは2023年5月31日に終えた四半期において、サードパーティーロジスティクス(3PL)の倉庫2つの利用を中止し、在庫を前年同期比で46%削減した。

 店舗への配送では、到着した製品を保管せずにすぐに仕分けや積み替え、出荷を実施することで効率的な配送を実施する「クロスドッキング」の事業者を活用することで配送回数を減らし、自社トラックでの配送量を最大化した。

 「これらの取り組みにより、年間70万ドル以上のコスト削減を達成した。これは、前四半期に発表したコスト削減目標である年間120万ドルの60%以上に相当する。規模、時期ともに当初の予想を上回る進捗(しんちょく)状況だ」(サールス氏)

 2023年7月13日に開催されたアナリストとの決算説明会で、サールス氏は「チョコレートメーカーであり、フランチャイズ契約を募集する本部(フランチャイザー)でもある当社は事業の簡素化と集中化よって少ない労力でより多くを実現することで競合他社より優位に立てる。われわれは細分化された米国のチョコレート菓子市場において、市場シェアを獲得するためのポジションを確立しつつある」と説明した(注3)。

 しかし、Rocky Mountain Chocolate Factoryがこの目標を達成するには、まだ道半ばだ。

 2023年5月31日に終えた四半期の営業費用は、主に新しいリーダー層の採用によって増加した。一方、工場および小売総利益は前年同期の90万ドルから30万ドルに減少した(注4)。Rocky Mountain Chocolate Factoryは「この減少はSKU(Stock Keeping Unit:在庫管理上の最小管理単位)を削減したことが一因だ」としている。同社はSKU数を25%削減する計画を進行中で、採算が取れないチョコレート製品の削減に重点を置いている。

 同社の業績向上を支援する取り組みの一つが、無名のコールドチェーン物流企業との戦略的提携だ。コールドチェーンとは、サプライチェーンの全工程を低温に保つ物流を指す。Rocky Mountain Chocolate Factoryはこの提携によって、オンライン注文に対して従来よりも効率的に、全国に2日間で配送できるようになるとしており、販売量が増加すると考えられている。この提携は今後12週間にわたって展開する予定だ。

 「より迅速な配送に加えて、オンラインの顧客は送料が大幅に削減されるのを実感するだろう」(サールス氏)

 サールス氏は今後の展開について、「ホリデーシーズンに向けて在庫が再び増加する予定だが、前年度よりは低い水準にとどまるだろう。サードパーティーの物流パートナーと在庫の事前配置を実施する予定だ」と述べた。「事前配置」とは、季節性の需要が高い商品を事前に配置することで、在庫の最適化を図る戦略を指す。「これも48時間以内に消費者の手元に製品が届くようにするためだ。今後このチームでは、より厳格な在庫管理が期待できるだろう」(サールス氏)

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