最後にColorkrewと田中科学機器製作の興味深いDynamics 365のERP導入事例を紹介します。両社ともにカスタマイズせずに基幹システムの導入を完遂しました。ERPパッケージの構築や導入において、日本では類を見ない実例です。詳細についてはユーザー企業および導入パートナーであるPacific Business Consultingの奮闘記をご覧ください。
この場をお借りして、導入事例を公開したユーザー企業やMicrosoftのパートナー企業、そして素晴らしい製品やサービスを市場に投入したMicrosoftに感謝したいと思います。関係者の協力なしに事例は世に出ません。多大なご努力に敬意を表します。
Microsoftには年間で最も優れた実績を築き、顧客から厚い信頼を獲得したパートナーを表彰する制度があります。「マイクロソフトジャパン パートナー オブ ザ イヤー 2023」の受賞企業の皆さまもおめでとうございます。
Microsoftのビジネスアプリケーションが日本で提供され始めてから20年以上が経過しました。現在はクラウドファーストの時代で、アプリケーションはSaaSが主流になりました。これらのサービスは導入以降は再構築ではなくアップデートで新たな機能群が利用でき、再構築の費用が浮けば資源の再分配も可能です。
MicrosoftのWebサイトには多くの事例があります。類似企業の事例を調査し、使えるアイデアやソリューションを学び、自社のDXに生かしてください。それぞれのパートナー企業で強みも異なるので、自社に最適なITパートナー企業を調査し、ベストな相棒との共創を実現しましょう。
プロジェクトを成功する組織には組織行動論が身に付いています。一方、プロジェクトが失敗する場合、ITベンダーに問題があったとしても、最終的な責任はユーザー企業のものになるケースがほとんどです。プロジェクトが成功したのはなぜか、プロジェクトが失敗したのはなぜか、これらの理由を分析し、潜在的な課題や解決策を明らかにすることが、次のプロジェクトの成功に役立ちます。
現在も何かのプロジェクトに参画している方は「今のメンバーで同じプロジェクトに取り組む事は二度とない」ということを覚えておきましょう。今の自分は「Fixed Mindset」(フィックストマインドセット)になっていないか、Growth Mindsetで顧客やチームにプラスのインパクトを出せているかを考えてください。
私もプロジェクトマネジャーとして業務に従事していました。プロジェクト完了時にはプロジェクトメンバーに「もう一度同じプロジェクトをやるなら、みんなどうする?」と考えてもらう時間をとっていました。
この内容のワークショップに半日の時間をとっても、企業にとってマイナスはありません。品質と生産性の高いプロジェクトを遂行する、各自が組織行動論やコンピテンシーモデルを手に入れるには、この時間がとても大切です。プロジェクトが開始したら、各ステップでチームメイトと振り返り、その上で顧客にプロジェクト完了報告をする癖をつけましょう。そして、顧客が許してくれる場合は、プロジェクトに関わった全員で「もう一度同じプロジェクトをやるなら、どうする?」という題目で議論してください。基本に立ち返り、PDCAをしっかりと回しましょう。そして、企業の枠を超えてパフォーマンスの高いチームを創りましょう。
今後も「ONE TEAM」になった組織から、Microsoftのビジネスアプリケーションを活用した事例が公開されてくることを心から願っています。
次回は、2023年7月より新年度を迎えた日本マイクロソフトのビジネスアプリケーション領域の取組を紹介します。
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