Chrome 118以降から「iCloudキーチェーン」におけるパスキーのサポートが始まる。これによってAppleのエコシステム内でのパスキーの同期と共有が可能となる。
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Googleは2023年10月3日(現地時間)、「Google Chrome」(以下、Chrome)のバージョン118(macOS 13.5およびこれ以降のバージョン)から「iCloudキーチェーン」におけるパスキーをサポートすると発表した。
同機能を利用するには、ユーザーが「iCloudアカウント」でサインインしている必要がある他、はじめてiCloudキーチェーンを使おうとしたタイミングでこの使用権限をChromeに付与する必要がある。
これまでmacOS版Chromeにおいて、ユーザーのパスキーはChromeプロファイルにのみローカルで保存されていた。このデータは同期対象にはなっておらず、対象のデバイスでのみ使用が可能とされていた。今回の変更から、iCloudキーチェーンに保存したパスキーはAppleのエコシステム全体で同期されて使用可能になる。
Chrome 118以降で新しいパスキーを生成すると、macOSのシステムユーザー検証ダイアログが表示される。このダイアログは「Safari」で同様の操作を実行した際に表示されるダイアログと同じものだ。
表示されるダイアログは「Touch ID」など対象となるデバイスがサポートしているユーザー認証方法で本人確認するように求めてくる。本人確認が完了すると新しいパスキーが作成され、iCloudキーチェーンに保存される。保存したパスキーは同じiCloudアカウントを利用している「iPhone」「iPad」「Mac」などで同期され、ユーザーがそのパスキーを使ってWebサイトやアプリケーションにサインインできる。
iCloudキーチェーンに保存されたパスキーはChromeだけでなく他のWebブラウザでも利用できる。逆に「Safari」でパスキーが作成されてiCloudキーチェーンに保存された場合、そのパスキーはChromeからも利用可能だ。
Chrome 118以前のバージョンで生成されたパスキーはChromeプロファイルでローカル保持されており、このパスキーも引き続き使うことは可能となっている。ただ、iCloudキーチェーンに保存されているパスキーが優先されるため、iCloudキーチェーンに対象となるパスキーが存在しないときのみ、ローカルに保存されたパスキーが使われる。
Chrome 118以降になっても設定を変更することでデフォルトのパスキー保存先をローカルのChromeプロファイルに設定できる。設定方法としては「chrome://password-manager/settings」を表示させ「Use passkeys across your Apple devices」をオフにすればいい。
macOS 13.4よりも以前のMacを使っている場合、Chrome 118以降を使っていたとしてもChromeで作成した全てのパスキーはデフォルトでChromeプロファイルにローカル保存され、デバイス間で同期されない。macOS 13.5以降を使っていても、ユーザーが「iCloud Drive」にサインインしていない場合、生成したパスキーはローカルに保存される。
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