IFSが産業用AIプロバイダーのFalkonryを買収 従来のソリューションをどう変えるか

IFSはPokaに続いて産業用AIソフトウェア企業のFalkonryを買収した。これにより、企業が製造プロセスの異常を発見、修正するのを支援するという。

» 2023年10月06日 08時00分 公開
[Jim O'DonnellTechTarget]

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 製造業に特化したERP製品を提供するIFSは、製造プロセスの異常を発見、修正するAI(人工知能)ソフトウェアを提供するFalkonryを買収し、産業用AIをポートフォリオに追加するとしている。Falkonryの顧客基盤は、IFSの製造業、特に航空宇宙防衛産業の顧客基盤と重なる。

 買収の条件は明らかにされていない。この買収は2023年8月末に契約が交わされ、第4四半期には完了する予定だ。

 IFSのクリスチャン・ペダーセン氏(最高製品責任者)によれば、Falkonryの産業用AI技術はIFSのAI戦略を加速させるものだという。IFSは、AIによって製造現場の作業員が生産性を向上することを目指しており、ペダーセン氏は「FalkonryのAIは製造プロセスの改善に役立つ」と話す。

 「Falkonryは資産パフォーマンス管理、その中でも異常検知に力を入れている」(ペダーセン氏)

容易かつ迅速に使えるAI

 資産管理に関連するデータは指数関数的に増加しており、「問題が発生してからその原因を特定する」という従来の異常検知手法では追い付かなくなっている。ペダーセン氏によれば、Falkonryの自己学習型AIは異なるアプローチを採用している。

 「Falkonryのアプローチは“何が正常か”を特定する。データストリームには既に正常とされるものが一定数あるため、“何が異常か”を見つけるよりも簡単だ。このアプローチには学習が必要ない。異常とはただ標準から外れているということだから」(ペダーセン氏)

 IFSは企業資産管理や製造実行システム、プランニング、スケジューリングの最適化、フィールドサービス管理、企業サービス管理といった、製造業向け製品ポートフォリオにFalkonryのAIを導入する予定だ。

 「幅広くAIを組み込むことで、すでにユーザーはAIにアクセスできる状態になり、企業は恩恵を享受できる。機械学習の設定は不要だ」(ペダーセン氏)

 同氏によれば、IFSはFalkonryのAIをIFS以外の製造システムとも接続できるようにするという。IFSの顧客向けの価格はまだ決定していない。

 IFSは2023年6月にも、コネクテッドワーカーソフトウェアプロバイダーのPokaを買収した。Pokaは、メーカーがさまざまなシステムや現場機器から作業員に指示を与えるための単一アプリケーションを提供している。「FalkonryもいずれPokaと統合される」とペダーセン氏は話す。

 「これらの統合はビジネスプロセスの観点から始まる。異常が検知されると、作業指示を発行し、作業指示書に添付する必要がある。これらはビジネス的なプロセスだ」(ペダーセン氏)

 Technology Evaluation Centersのプレドラグ・ヤコヴリエヴィッチ氏(プリンシパルインダストリーアナリスト)はIFSによるFalkonryの買収について「IFSが資産集約型産業の顧客基盤にAI機能を提供する助けになる。製品ラインアップの拡大にもつながる」としている。

 「IFSは、すでに実証されている資産パフォーマンス管理のシナリオを顧客に提供でき、それを販売すれば彼らにとって素晴らしいことになるだろう」(ヤコヴリエヴィッチ氏)

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