Salesforceが最大33%の値上げを敢行 その狙いは?CFO Dive

Salesforceはデータ分析ツール「Tableau」のオンプレミス向けサブスクリプションライセンス料金を引き上げ、顧客をクラウドに移行する方針を示している。

» 2023年10月06日 07時00分 公開
[Alexei AlexisCFO Dive]

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CFO Dive

 Gartnerのアナリストによると、SaaS大手のSalesforceが最近発表した値上げには、データ分析ツール「Tableau」のオンプレミスの顧客をターゲットにした変更が含まれているという。

Salesforceの急激な価格改定の背景は?

 「CFO Dive」で共有された最近のGartnerの調査によると、Salesforceは顧客を自社が推奨するSaaSモデルに誘導し続けるため、Tableauの従来のオンプレミス・サブスクリプション・ライセンスの価格を9〜33%引き上げるという。オンプレミス型ソフトウェアは、パブリッククラウドのプラットフォームやリモートのデータセンターではなく自社で管理を実施するものだ。

 Gartnerのシニア・プリンシパル・アナリストであるクリストファー・ディクソン氏は「直近ではTableauがオンプレミスの顧客のサポートを終了する予定はないが、長期的に考えるとその可能性はある」と述べている。

 Salesforceは2023年7月、「Sales Cloud」「Marketing Cloud」、そしてTableauを含む幾つかの製品で、2023年8月から定価を平均9%値上げする予定だと発表した(注1)。同社の主力製品の価格改定は2016年以来初めてのことだ。

 Gartnerによると今回の価格改定は、Salesforceが収益性向上について投資家からの圧力に直面している時期に実施された。価格改定はクラウドソフトウェア業界全体の傾向を浮き彫りにしている。

 Gartnerの調達・購買・ベンダー管理チームのディレクターアナリストであるハンナ・デッカー氏は、CFO Diveに対し別のインタビューで「多くのベンダーはインフレや人件費の高騰を非難している」と語った。

 CFO Diveが以前報じたように(注2)、SaaSで支出管理のプラットフォームを提供するVerticeによると、SaaSプロバイダーのほぼ4分の3に当たる73%が過去12カ月間に価格を引き上げている。

 SAPは2023年7月下旬、オンプレミスの年間サポート料金を2024年1月1日(現地時間、以下同)から上限5%引き上げると発表した(注3)。これは、2023年初頭から平均サポート料金を3.3%も引き上げるという2022年の決定に続くものである。今回の発表で同社は、依然として高いインフレ率を特徴とする現在の市場環境を値上げの理由に挙げている。

 Microsoftは2023年初め、英国と欧州連合(EU)の顧客に提供するクラウド製品について、2023年4月1日から9〜15%値上げすると発表した(注4)。当時、ソフトウェア大手のMicrosoftはこの措置について「現地通貨の対米ドル為替レートを反映する一貫した価格設定」を顧客に保証するためのものだと述べていた。

 Gartnerのレポートによると、Salesforceの価格改定は初めてクラウドサービスを利用する顧客や、新しいクラウドサービスを購入する既存顧客にも影響を及ぼすという。また、Salesforceが契約更新時に値上げする方針を最近復活させたため、更新する顧客も困難に直面する可能性がある、と同レポートは述べている。同社は、既に多くのサービス更新時に5%の値上げを提案し始めているという。

 デッカー氏によれば、Salesforceの新価格は交渉が可能だ。Gartnerのレポートによると、Salesforceの定価は平均で9%上がるが、場合によってはそれ以上のコスト増に見舞われる可能性があるという。Salesforceの「Marketing Cloud Engagement」製品である「Corporate Edition」の基本料金は月額4200ドルに引き上げられるが、これは12%の値上げとなる。

 「Tableau製品シリーズの中にはさらに目を見張るような値上げもあるが、それはより安価なライセンスが含まれているからに他ならない」とディクソン氏は言う。Tableauの「Embedded Analytics Viewer」のオンプレミス・サブスクリプション・ライセンスは、月額9ドルから12ドルへと33%の値上げとなる。このライセンスは1ユーザー当たり月額制で、通常は購入ライセンス数に応じて割引が適用される。

 ディクソン氏は「SalesforceがオンプレミスであるTableauのサブスクリプションライセンスの価格をSaaSの料金に合わせ、顧客がクラウドに移行するよう仕向けていることが大きなポイントだ」と指摘する。

 「この動きはSalesforceが2021年5月にTableauのオンプレミス永久ライセンスの新規販売を停止したことに続くものだ。Salesforceは生まれながらのクラウドベンダーだ。オンプレミスに大きな顧客基盤を持つTableauを買収したが、Salesforceは長期的な関係を望んでいない。彼らはSaaSサブスクリプションを売りたいのだ。顧客は自社の優先順位がそれに合致するかどうかを判断する必要がある」(ディクソン氏)

 この件に関してSalesforceの広報担当者にコメントを求めたが、すぐに回答は得られなかった。

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