Amazonは「2030年までに同社が出荷する商品の50%のネットゼロ(大気中に排出されるGHGと除去されるGHGが差し引きゼロになる状態)を達成する」という目標に向けて、海運大手との契約を更新した。両社が取り組む、海上輸送の脱炭素化という取り組みを進めるための新たな一手とは。
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Eコマース大手Amazonと海運大手のA.P. Moller - Maersk(以下、Maersk)は2023年9月6日(現地時間)、契約を更新したと発表した(注1)。
今回の契約更新によって2社は2023〜2024年にわたってバイオ燃料を使って商品を輸送することとなる。Maerskの計算によると、この契約によって4万4600トンの二酸化炭素(CO2)排出量が削減される。Amazonは4年連続で、40フィートコンテナ2万個の輸送にMaerskのエコ配送サービスを利用する。
今回の契約更新で新たに加わった要素は次の2点だ。
Maerskは2019年からエコ配送サービスをオプションとして提供している。同社によると、持続可能な海上輸送サービスに対する荷主の需要は伸び続けている。
Maerskの広報担当者は「ファッションや小売業から自動車、化学、さらには古紙に至るまでさまざまな業界で需要がある。Maerskの顧客上位200社の3分の2、そしてそれ以外の多くの顧客も、Scope3の排出量を削減するためにネットゼロまたは科学的根拠に基づく排出量目標を設定している」と付け加えた。
Scope3とは、サプライヤー企業や配送業者など自社の取引先が排出する温暖効果ガスの総量を指す。
Amazonは、「2030年までに(Amazonが出荷する全商品のうち)50%のネットゼロを達成する」という目標を掲げている(注2)。
AmazonのWebサイトでは、一部の航路で航空便よりも海上便の利用を増やしたり、バイオ燃料を使用したりするなど、同社のCO2排出量削減への取り組みを紹介している。
Amazonで海上輸送の脱炭素化を率いるローラ・ボウエン・ウェゲナー氏は契約更新の発表後、ビジネス特化型SNS「LinkedIn」に「海上輸送の脱炭素化は難題だが、それでもわれわれは挑戦する」と投稿した(注3)。「われわれはMaerskと共に脱炭素化のミッションをリードできることを光栄に思う。当社や他の多くの荷主、船会社、燃料メーカーなどが海上のエネルギー転換を進展させることを確信している」(ウェゲナー氏)
Maerskは、2040年までにCO2排出量を正味ゼロにすることを約束した(注4)。
同社のWebサイトによると、同社初のメタノール対応フィーダー船(注5)が2023年9月に出航した(注6)。Amazonでグローバル輸送担当バイスプレジデントを務めるアダム・ベイカー氏は「Maerskのメタノール対応フィーダー船に自社のコンテナを積載する」と声明で述べた(注7)。
(注1)Maersk Finalizes ECO Delivery Deal with Amazon(A.P. Moller - Maersk)
(注2)Amazon pledges 50% net-zero carbon shipments by 2030(Supply Chain Dive)
(注3)Laura Bowen Wegener(LinkedIn)
(注4)Maersk pledges net-zero carbon emissions by 2040(Supply Chain Dive)
(注5)主要港と地方港の間で貨物を運ぶ小型船。
(注6)ALL THE WAY TO ZERO(A.P. Moller - Maersk)
(注7)Maersk Finalizes ECO Delivery Deal with Amazon(A.P. Moller - Maersk)
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