生成AIブームの勝者は? ハイパースケーラーがこぞってデータセンター増設中CIO Dive

ハイパースケーラーは負荷の大きな生成AIのワークロードに備えるために、新しいインフラを構築したり、システムを改修したりしているという。

» 2023年11月15日 08時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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 調査会社Synergy Research Groupの予測によると、ハイパースケーラーのデータセンターの増築とアップグレードによって、クラウドコンピューティングとストレージの容量は今後6年間でほぼ3倍になるという。同社は、世界のクラウドおよびインターネットサービス企業19社のデータセンターの設置面積と運用状況を分析した。

 容量はすでに着実に増加するペースにあったが、2023年10月17日(現地時間)に発表されたレポートによると、負荷の大きい生成AI(人工知能)のワークロードの急増が予想されるため、クラウド事業者は拡張を促進させているという。

生成AIブームで、ハイパースケーラー各社がデータセンターの拡大に注力

 Synergy Research Groupのチーフアナリストであるジョン・ディンズデール氏はレポートの中で、「生成AIの技術やサービスによって、今後の展開計画に幾つかの変化が見られる。こうした変化は、新たに立ち上げられるデータセンターの数によるものではなく、GPUがますます大量に導入されるにつれて増える、施設の容量と電力密度に関係している」と述べる。

 モダナイゼーションを推進する企業がクラウドベースのサービスの利用を拡大する中、ベンダーは需要の伸びに追随することを目指している。

 Synergy Research Groupが分析したハイパースケーラーは、2023年半ばに世界で926の主要データセンターを運営しており、さらに427の施設の開設を計画中だ。この数は過去5年間で倍増している。

 Oracleは2023年、新たに6つのデータセンターに着工し、全世界で64のアクティブなクラウド地域のポートフォリオを追加したと、サフラ・カッツCEOは2023年9月の四半期決算説明会で述べた。同社はまた、「Microsoft Azure」のデータセンターにデータベースハードウェアを設置する契約をMicrosoftと結んだ。

 データセンター連合の委託を受けたコンサルティングファームのPwCの最新レポートによると、米国のデータセンター業界の雇用数は2017年から2021年にかけて17%増加した。

 同社によるとクラウドやデータ集約型アプリケーション、デジタル技術の普及が業界の急激な成長を促したという。また、新たなテクノロジーも勢いを増している。

 より大容量のサーバ技術を必要とする生成AIのワークロードの増加が予想され、3大ハイパースケーラー間の市場シェア獲得競争が激化している。AWSやMicrosoft、Google Cloudはいずれも、顧客のAIコンピュートにおけるニーズを満たすためにインフラをアップグレードすると表明している。

 GPUやTPU(Tensor Processing Unit:Googleが開発した機械学習に特化した集積回路)、その他のAIに最適化されたキャパシティーを追加することは、必ずしも新たなスペースを必要とするわけではないが、より多くのエネルギーを消費するとSynergy Research Groupは述べている。

 強力なコンピュートほどコストが高くなり、2024年の企業向けクラウドの販売価格に反映される可能性がある。

 Gartnerは、ITリーダーはエネルギーを意識したオペレーションを優先すべきだとし、2026年までにG20加盟国の半数が月ごとの電力割当制に移行すると予測している。

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