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» 2023年11月28日 10時27分 公開

Microsoft Igniteの重要発表を網羅 Copilotは働き方をどのように変える?(Microsoftのビジネスアプリケーション最終稿)DX 365 Life(12)(1/3 ページ)

Microsoftは年次イベント「Microsoft Ignite」でさままざまなAIに関する発表を行いました。注目サービスを解説します。

[吉島良平ITmedia]

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 「DX 365 Life」では以前「労働供給制約社会」という話に触れました。今後、少子高齢化が進むと同時に生産年齢人口が減少し、「現在私たちが利用しているサービスの品質が将来も保たれるのは東京だけになる」という予測もあります。

 このような課題に対応するために、私たちは「働き方改革」に取り組まなければなりません。これは「働き手の事情に応じて『多様で柔軟な働き方』を選択できるようにする改革」です。

 この実現に向けて重要なことは「無駄なタスクを無くす」ということです。管理者は現場業務に優先順位を付けて、必要な業務にリソースを集中できる環境を作る必要があります。また、従業員の稼働データを可視化し、分析することも大切です。

 しかし「業務量の増加」「人材不足」「法制度順守」にも対応しながら生産性を向上し、他社と差別化するための“価値創造”に時間を使うことは容易ではありません。Microsoftが2023年11月に開催した年次イベント「Microsoft Ignite」に、このような状況を打破するヒントが隠されていました。

 Microsoftのサティア・ナデラ氏(最高経営責任者兼会長)はMicrosoft Igniteの基調講演の中で「世界で3億2000万人が『Microsoft Teams』(以下、Teams)を日々利用し、14万5000もの業務アプリがTeamsで構築、利用されている」と話しました。欧米諸国を中心に多様な働き方が広がっていますが、日本はどうなのでしょうか。

 DX 365 Lifeは1年間にわたり、Microsoftのビジネスアプリケーション領域におけるERPやCRM「Microsoft Dynamics 365」、ローコード開発プラットフォーム「Microsoft Power Platform」(以下、Power Platform)、昨今話題につきないAI(人工知能)の「Copilot」に加え、「学び方」や「コミュニティー」「キャリア形成」「パートナーが果たすべき真の役割」「導入事例」などを解説してきました。最終回となる本稿は、AI時代に向けてCopilotが生産性向上と価値創造にいかに貢献するのかを解説します。

この連載について

 本連載は12回にわたって、Microsoftのビジネスアプリケーションに関する情報を発信し、製品やサービス、学習ツールだけでなく、導入ベンダーやその事例、コミュニティーの活動にも触れていきます。

筆者紹介吉島良平(Chief Operating Officer)

約20年にわたって日本を含む31カ国でMicrosoft社製ビジネスアプリケーションの導入・開発・コンサルティングに従事。2022年11月よりシンガポール企業『Technosoft (SEA) Pte. Ltd.』のCOOに着任、2023年7月よりTechnosoft Japan Co., Ltd.のPresidentを兼務。

Microsoft Regional Director

Microsoft MVP for Business Applications

Blog:DX 365 Life - マイクロソフトのBizAppsを活用し、企業のDX実現に向けて国内外を奔走する室長Blog



パンデミック後に私たちの働き方は変わったのか

 2023年夏は「久しぶりに海外旅行に行く」という方も多かったようです。しかし、2019年と比較するとまだ6割程です。

図1 出入国管理統計(出典:JTB総合研究所の資料を基に筆者作成)

 NTTドコモが運営するモバイル社会研究所の統計データによると、東京都でテレワークを実施している企業は29.8%ですが、「テレワークを実施していない」という回答は北海道と東北地方で82.5%、四国で82.8%でした。業種や業態によって、ITインフラや十分なIT教育システムが整っていないことがこの差を生んでいると考えられます。

図2 地域別テレワーク実施率2023年(出典:モバイル社会研究所のデータを基に筆者作成)

 直近3年間のテレワーク率の全体平均は14.4%、2023年は男性が21.5%、女性が8.3%です。

図3 男女別テレワーク実施率の推移(出典:モバイル社会研究所のデータを基に筆者作成)

 Geological Survey of Western Australia(以下、GSWA)が公開しているデータで海外諸国の取り組みを見ると、カナダはテレワーク率が高くなっています。「テレワークをしたい」と多く回答したのはアルゼンチンや南アフリカ、米国です。希望と現実のギャップが一番大きいのはトルコ、一番小さいのはオランダです。日本は韓国より少し高いですが、アジアの先進国とされるシンガポールとは差があります。

図4 世界のテレワーク状況(出典:GSWAが2023年6月に公開したデータを基に筆者作成)

 小売業やサービス業はもちろん、製造業も工場作業をテレワークにするのは困難です。特に日本には「良いサービスを届けたい」という「おもてなしの文化」もあり、顧客タッチポイントを対面形式で得る機会が多くあります。

 つまり、日本で「テレワーク率が労働生産性にどう影響するのか」を議論するには業種や業態、タスクレベルで推論する必要があります。「日本は労働生産性が低い」とやゆされることもありますが、サービスの品質が違うのであまり意味のない意見だと感じます。しかし、差し迫ってくる労働供給制約社会に対応するには「Do more with less」(少ない労力で、より多くのことを達成する)が必要なことは確かです。その意味で通勤時間を削減して作業時間を増やせるテレワークは有効な手段の一つでしょう。

 ここから、Do more with lessを実現するMicrsoftの新たな発表を紹介します。

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