ペイロール、データベース基盤にOCIのハイブリッドクラウドを導入 その狙いは

ペイロールは給与計算システムのデータベース基盤として「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)のハイブリッドクラウドソリューションである「Oracle Exadata Cloud@Customer」を導入した。

» 2023年12月01日 07時00分 公開
[大島広嵩ITmedia]

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 日本オラクルは2023年11月30日、給与計算や周辺業務のアウトソーシングサービスを提供しているペイロールが、給与計算システムのデータベース基盤として「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)のハイブリッドクラウドソリューションである「Oracle Exadata Cloud@Customer」を導入し、運用開始したと発表した。

 ペイロールは、同社のデータセンターに「Oracle Exadata」を設置することで、低レイテンシーで高い処理能力を発揮しながら、機密性の高いデータを社内に保管できる環境を整備した。OCIのマネージドデータベースを利用できるため、運用管理負荷の抑制もできるという。

繁忙期の大容量データ処理における不安を解消

 ペイロールはこれまで、「UNIXサーバ」と「Oracle Database」を利用した3階層システムの構成でサービス基盤を運用していた。顧客増に伴うデータ量の増加時は、リソースを都度増強することで対処してきた。

 しかし、従来の対処方法に限界があったことに加え、基幹データベース基盤のパフォーマンス不足に起因した障害が発生するリスクがあった。また、サービスの安定運用を維持するため、基幹システムの見直しが必要であった。

 そこで、ペイロールの給与計算サービスを支える基幹データベース基盤として、Oracle Exadata Cloud@Customerを採用し、2022年10月に本番運用を開始した。また、BCPサイトのOracle Database向けに、Oracle Exadata Cloud@Customerを2023年9月に採用した。

 導入の目的は、ユーザーの増加に伴って発生する大容量データ処理のパフォーマンス強化およびシステムの安定稼働だ。今後増加が見込まれる大量データを高速かつ安定的に処理するため、Oracle Databaseのパフォーマンスを引き出し、データベースの管理軽減と利用効率向上を実現するため、Oracle Exadata Cloud@Customerを選定したという。

 ペイロールの酒井弘樹氏(CIO 情報システム担当)は選定の理由について、「当初は最新のUNIXサーバとOracle Databaseに移行するという従来の方法も検討しましたが、増加が見込まれる大量データを高速かつ安定的に処理するには、Oracle Databaseのパフォーマンスを最大限に引き出し、リソースを柔軟に設定できるOracle Exadata Cloud@Customerが最適であると考えました」と述べた。

 また、ペイロールの年末調整補助サービスは11月頃に繁忙期を迎えるため、処理のピークに応じてOracle Exadataのリソースを柔軟に設定し、コストを最適化できる点も重要視した。

 事前のOracle Exadataのパフォーマンス検証では、従来型のUNIXサーバとSQL処理の比較を行った結果、3〜55倍にもおよぶ処理能力の効率化を確認できた。また、Oracle Exadata Cloud@Customerであれば、自社で運用管理しなくて済む点も評価した。

 BCPサイトのOracle DatabaseもOracle Exadata Cloud@Customerで刷新し、「Oracle Data Guard」を活用したレプリケーションを行う予定だ。バックアップ側のデータ基盤の更改についても、当初は従来型のUNIXサーバとOracle Databaseによる構成を検討したが、日々の運用が煩雑にならないよう、プライマリーサイトとオペレーションを共通化するため、同一構成のOracle Data Guardで連携させる。

 ペイロールは、フロント側のシステムも含めた強化、改善を図ることで、サービス基盤の安定性向上を進める。一方で、今後の展開として、データを活用した新サービスの投入も検討している。

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