過去のネットワーク管理の常識はいかに陳腐化したか。HPEが発表した「2024年のネットワーク業界の5大潮流」によれば、スタンドアロン型ファイアウォールは、2024年に終わりを迎える。
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Hewlett Packard EnterpriseおよびHPE Aruba Networkingが2024年におけるネットワーク業界の5大潮流の予測を発表した。
その内容は直近の技術トレンドに起因するものだけでなく、企業がネットワーク管理に求めるものそのものの変化が読み取れるものだ。
予測ではかつて定番だったスタンドアロン型ファイアウォールの終焉(しゅうえん)と新たなセキュリティ対策の必要性が指摘されている。また、ハイブリッドワークとIoT(モノのインターネット)の普及に伴い、企業はネットワークセキュリティの対応を見直す必要があるとされる。さらに、ゼロトラスト原則の適用拡大と、ユーザーエクスペリエンスを重視したサービスレベルの設定が注目されている。
日本ヒューレット・パッカードは2024年1月15日、Hewlett Packard EnterpriseおよびHPE Aruba Networkingが予測した、2024年におけるネットワーク業界の5大潮流予測を発表した。
公開された主な予測内容は次の通りだ。
ハイブリッドワークの台頭やIoTデバイスの広範囲な導入によってネットワーク境界の侵食が進みスタンドアロン型のファイアウォールが終わりを迎えることになる。
ファイアウォールアプライアンスも最終世代になりつつあり、これに代わるクラウド配信型セキュアWebゲートウェイやクラウドアクセスセキュリティブローカー、ゼロトラストネットワークアクセスが提供されるようになる。
IoTセキュリティやデータセンターにおいては、ゲートウェイやスイッチ自体が複数のセキュリティ機能を備えるようになりつつあることから、今後数年間で次世代ファイアウォール市場は縮小し続ける。
多くの組織でネットワーキングとセキュリティはそれぞれ別のチームが担当している。
だが2024年には、先進的な企業においてゼロトラストの原則適用が進む。ネットワーキングチームとセキュリティチームの利害も調整され、より優れたエンドユーザー体験と事業の成果を達成するとHPEでは予測している。
ユーザーにとって重要なのは自分が使っているアプリケーションが正常に動作しているかどうかであり、企業は計測されたユーザーエクスペリエンスに基づくサービスレベル目標(SLO:Service Level Objective)およびサービスレベル合意(SLA:Service Level Agreement)設定へと切り替えていく必要がある。
企業はこの問題に対処するためにデジタルエクスペリエンス監視(DEM:Digital Experience Monitoring)ツールを広く導入することになる。
6GHz帯でのWi-Fi普及を遅らせていた障壁がほとんどの国および地域で解消され、普及が急速に進む。
6GHz帯を屋外で使用するには政府当局の認可が必要であり、当初は政府による規制が普及を妨げていた。しかしこの障壁は取り除かれはじめており、2024年にはほとんどの企業が世界中で6GHz周波数帯にアクセスできるようになる。すでにWi-Fi 6Eをサポートするクライアントデバイスは普及しており、間もなく登場が予定されているWi-Fi 7もWi-Fi 6Eとの相互運用が可能になることは確実と見られている。
こうした状況があり、2024年には6GHz帯が飛躍的に普及することが予測される。
AI(人工知能)技術の普及が、ネットワーク管理者の負担を軽減する。管理者の数自体は変わらないまたは減少傾向にあるため、管理者はより多くの業務をこなさざるを得ない状況にある。AI技術の進歩と自動化の普及がこうした状況の改善につながる。
ハイブリッドワークの普及で企業はネットワークセキュリティに関して新しい対応を求められている。HPEはこうした状況において従来型のファイアウォールが終わることになると指摘しており、新しい時代の対応へ移っていくことが指摘されている。またゼロトラストのさらなる普及、Wi-Fi 6の普及、AI技術の活用などが進むことも言及されている。
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