2023年、LINEとヤフーが合併して生まれた「LINEヤフー」。合併によって同社のデータソリューションはどのように変わるのか。生成AIが鍵を握るようだ。
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LINEヤフーは2024年1月18日、データ活用に関するソリューションや事例を紹介する「LINEヤフー Data Conference 2023」を開催した。同イベントは過去4回ヤフーが開催してきたが、同社が2023年10月にLINEと統合したことで、今回からLINEヤフーとして主催する。
「最強のマーケティングデータである検索(データ)が強化されることを非常に期待している」
同イベントに登壇したLINEヤフーの村田 剛氏(データソリューション本部 本部長)はこのように述べ、LINEとヤフーの統合のメリットを強調する。
両社は合併前から検索機能の連携を強化してきた。2023年6月にはLINEアプリ上で「Yahoo!検索」を利用できるようになり(注1)、合併後の同年12月にはYahoo!検索や「Yahoo!マップ」の検索結果に店舗や施設のLINE公式アカウントへのリンクが表示されるようになった(注2)。今回の統合によってこのような連携をさらに強めていく狙いがあると思われる。
また、B2Bサービスにおいては「Connect One」と呼ばれる構想を掲げ、村田氏は「既存のLINE、ヤフーのそれぞれのサービスをしっかりとつなぎ合わせて、トータルソリューションを提供していく」と述べる。
複数のソリューションにおける連携が構想されているが、同イベントでは特にデータソリューションに関する連携や新機能が紹介された。
ヤフーが提供してきたビッグデータ分析ツールの「DS.INSIGHT」は主に商品企画部門における市場調査で使われてきたが、両社の広告ソリューションに加わることで「ビジネスプラットフォーム」として進化させる狙いだ。
LINEヤフーのデータソリューションの責任者を務める鍵山 仁氏(データソリューション プロダクトオーナー)は同ソリューションのスローガンを「AI FIRST」だと述べる。
同氏はデータ分析の課題として、難易度の高い複雑な分析によって結果の解釈が難しくなってしまう事象を挙げる。「すごいけどよく分からない。そういうことがよく起こります」(鍵山氏)
LINEヤフーはこの課題を解決する手段として生成AI(人工知能)に着目する。分析結果を分かりやすい文章で出力し、複雑な分析結果の解釈を手助けするといった活用法を想定しており、同社が保有するデータやクライアント固有のデータを生成AIの基盤として利用することで「日本を知るデータベースと皆さんが会話できる。そういうAIが作れるのではないか」と鍵山氏は述べる。
DS.INSIGHTではYahoo!検索のデータを基に「○○を検索している人はどのような人か」というデータを提供してきたが、「Yahoo! JAPAN」の検索以外のサービスやLINEなど他サービスのビッグデータも含めた新しいソリューションとなることで、「ロイヤリティーが高いユーザーはどのような興味関心を持っているか」「広告が効果的だったのはどのような人か」といったさまざまな軸での分析が可能になる。
分析の軸が増えることでより深い洞察が得られるかもしれないが、それによって分析の難易度も上がる。これをサポートするのが生成AIだ。「会話型で分析結果を提供する形にしていきたい」と鍵山氏は強調する。
同氏によれば、そういったデータ分析サービスの主なターゲットは「企画は好きだけど分析は苦手」な層だという。アイデアはあるのに根拠はない。そのような状況を打破するために、“AIに分析を任せられる”プロダクトを目指す。
「私たちとお客さまが同じビジョンを持つことが(LINEヤフーの新しいプロダクトが作る)新しい世界にとって重要になる」(鍵山氏)。同社の膨大なデータとクライアントのデータ、そして生成AIが組み合わさることでデータ分析のハードルは下がるのか、今後も注目したい。
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