生成AIは急務だけど…… 従業員と経営幹部それぞれが抱える懸念とは?

アクセンチュアは生成AIが企業に大きな影響を与えるとし業務プロセスの再設計や従業員体験の向上への活用拡大が急務であると最新レポートで公開した。経営幹部の多くは生成AIの重要性を認識しつつも課題に直面している。

» 2024年03月22日 08時30分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 アクセンチュアは2024年3月19日、生成AIが企業にもたらす影響や成長方法などを調査したレポート「生成AIがもたらす企業全体の再創造」を公開した。

生成AIには価値があるけど…… 従業員と経営幹部それぞれが持つ課題

 調査によると、経営幹部は生成AIが企業の業務や役割に大きな影響を与える可能性があると考えており、企業全体で業務プロセスの再設計や従業員体験の向上に向けた生成AIの活用拡大が急務と捉えているという。しかし従業員は生成AIに対して経営幹部とは異なる考え方をしていることが分かった。

 経営幹部が生成AIに重要な価値を見いだしている一方で、その3分の2は「生成AIを活用した全社改革を主導するために必要なテクノロジーに関する知識や変革リーダーシップを有していない」と回答している。

 また、従業員の95%は生成AIの活用に価値を見いだしているが、約60%は失業への不安やストレス、疲弊を感じている。生成AIが従業員の仕事を奪うと考える経営幹部は3分の1以下であり、従業員と経営幹部で認識に違いがあることが分かった。

 アクセンチュアのエリン・シュック氏(最高リーダーシップ兼人事責任者)は、「経営幹部自身が生成AIの活用を進め、価値を創造し、全ての人に働きやすい環境を提供することが必要です。そのためには、まず自社の従業員が働く喜びを感じているかどうかについて問うことが重要です。これは従業員の潜在能力を引き出し、事業の成長を促すだけでなく、従業員が信頼感をもって生成AIと協働する道を開くことにもなります」と語る。

 調査によると、改革に取り組んでいる先進的な企業「再創造企業(リインベンターズ)」は全体の9%であり、こうした企業では生成AIの活用が進み収益の向上が実現している。

 改革を実施した企業の4分の3は、変革の実現に向けて従業員の積極的な関与を促し、半数以上は生成AIを活用して業務や役割を再設計し、人員配置を最適化しようとしている。また約半数(47%)は全社的な目線で変革を捉えて生成AIを最大限に活用するために自社の業務プロセスを抜本的に変えて再構築する必要があることを認識している。

 アクセンチュアはこうした取り組みは経営トップが先導する必要があるとしており「経営トップが従業員全員に対して企業全体の再創造を目指す際に必要となるスキルの方向性を示すべきだ」と指摘している。同社は「AIはデータと人間との相互作用の中で学習するため、機械に『教える』役割を担う人間の能力を伸ばし『教えることで学ぶ』文化を育成することが極めて重要だ」とした。

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