Google Cloudは生成AI「Gemini」をBigQueryやLookerなどのサービスに実装することを発表した。新機能の詳細と利用方法を紹介する。
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Google Cloudは2024年4月9〜11日(現地時間)に「Google Cloud Next '24」を開催し、生成AI関連の新機能を多数発表した。本稿ではその中から「BigQuery」と「Looker」に関する発表内容を紹介する。
BigQueryはGoogle Cloudが提供するフルマネージドのデータウェアハウス(DWH)だ。同製品には「Duet AI in Google Cloud」として生成AI機能が既に実装されていた。今回、この名称が「Gemini」に変わり、新機能が追加された。
新機能「AI augmented data preparation」は分析の前に必ずやらなければならないデータクレンジングを支援するものだ(図1)。
Geminiにデータを読み取らせると、クレンジングの実行プレビューが画面右側に表示される。内容を確認し「APPLY」をクリックすると修正が適用される。デモ映像では、温度のデータをGeminiが点検して表記をそろえたり、セ氏をカ氏に変換したりする様子が公開された。
「何から分析するか」が分からなくても、BigQueryのGeminiは各テーブルのメタデータやプロファイリングした情報を基に、実行できそうなクエリを提案してくれる。
さらに「データキャンバス」機能では、その名の通りキャンバスのような画面上に自然言語で指示を入力すると、集計、可視化されたデータが表示される。クエリエディターやプレビュー、BIツールなどを行ったり来たりしながら進めていた作業を一画面で俯瞰して進められるのは大きなメリットだ。
SQLのコーディングを支援する機能も「Duet AI」時代から引き続き提供される。パフォーマンス向上のためにクエリの修正案もレコメンドする。
Google CloudのBIツールであるLookerにもGeminiが実装される。分析からレポート生成まで、生成AIがサポートする。なお、今回発表された機能はLookerのものであり、無料のBIツール「Looker Studio」のものではないことに注意してほしい。
「Conversational Analytics」はチャット画面でAIと会話しながらデータを分析できる機能だ。デモ映像では、月次の売り上げの推移をグラフで出力した後、「製品カテゴリーごとの推移は?」と質問している。このように、出力された分析結果をさらに掘り下げられる。
また、LookerのGeminiはLookML(Lookerで使用するデータモデリング言語)の記述を支援する「LookML Assistant」も備える。
LookerのGeminiは「Google Workspace」とも連携し、分析結果からプレゼンテーションの生成も可能だ。グラフだけでなく、データの要約や考察も加筆できる。
Google Cloudのリリースノートによれば、上述した機能の内、BigQuery関連の機能はパブリックプレビューとして公開されている。Lookerの新機能は、本稿執筆時点ではまだプライベートプレビューの段階だ。
利用するには、BigQueryでGeminiをセットアップする手順に沿ってパブリックプレビューへのアクセスをリクエストする必要がある。なお、パブリックプレビューのサービスは機能が完全でない場合があり、テスト環境での使用が推奨されている点は注意してほしい。
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