「絶好調」のAWS、CEOはなぜ退任したのか?  CIO Dive

年間売上高が1000億ドル達成、収益成長率は前年同期比17.2%と絶好調のAWS。AIブームが後押しになってクラウド移行も進む中、なぜCEOは辞任を決意したのか。

» 2024年06月20日 08時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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CIO Dive

 Amazonは、Amazon Web Services(AWS)のCEOを3年間務めたアダム・セリプスキー氏が退任することを2024年5月14日(現地時間、以下同)に発表した(注1)。

業績は絶好調 それでもCEOを辞める理由

 Amazonに約15年勤務したセリプスキー氏は、「X」(旧「Twitter」)に退任理由について次のように投稿した(注2)。

家族と過ごす時間を楽しみにしながら、「次なる冒険」を考える機会を持ちたい

 セリプスキー氏はソフトウェア会社Tableau Softwareのトップを務めた後、2021年にCEOに就任した。AIへの関心の高まりによって企業のクラウド移行へのニーズが高まる時期にAWSを去ることになる。

 同氏の後任として、AWSで18年の経験を持つマット・ガーマン氏(AWSセールス・マーケティング・グローバルサービス担当シニアバイスプレジデント)が、2024年6月3日付でCEOに就任する。

 Amazonのアンディ・ジャシー氏(社長兼CEO)は2024年4月に開催された同社の2024年第1四半期決算説明会で、「AIの分野は非常に勢いがあり、既に数十億ドルの収益を上げている」と述べた。AWSの収益成長率は前年同期比17.2%に達し、前四半期の同13.2%から上昇している(注3)。

 AIモデルをカスタマイズし、生成AIチャットbotのサポートを得るための基盤を企業に提供するというAWSのAI戦略は、成果を上げ始めている(注4)(注5)。

 企業がAIが抱えるリスクに懸念を抱く中、ジャシー氏は2024年4月の決算説明会と2024年5月14日に同社の従業員に共有したメッセージの中でAWSのクラウドセキュリティをアピールした。

 「前四半期で年間売上高が1000億ドルに達し、前年同期比の売上高が再び伸びていることから、セリプスキー氏はAWSを強力なポジションに押し上げてくれた。そしておそらく最も重要なことはAWSが運用パフォーマンスやセキュリティ、信頼性、サービス全体で広く深くリードし続けていることだ」

 クラウド市場において31%という圧倒的なシェアを維持する中、AWSは顧客のクラウドベンダーに対する期待の高まりに応えるサービスを提供することにプレッシャーを感じている(注6)。

 Amazonは、今回のトップ交代に関する「CIO Dive」からのコメントの要請にすぐには応じなかった。

 ガーマン氏は2024年5月14日、AWSチームに宛てたメッセージの中で「この移行の一環として、当然ながら組織的に調整することになる。今後数週間のうちにその詳細を報告する」と述べた。

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