年間売上高が1000億ドル達成、収益成長率は前年同期比17.2%と絶好調のAWS。AIブームが後押しになってクラウド移行も進む中、なぜCEOは辞任を決意したのか。
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Amazonは、Amazon Web Services(AWS)のCEOを3年間務めたアダム・セリプスキー氏が退任することを2024年5月14日(現地時間、以下同)に発表した(注1)。
Amazonに約15年勤務したセリプスキー氏は、「X」(旧「Twitter」)に退任理由について次のように投稿した(注2)。
家族と過ごす時間を楽しみにしながら、「次なる冒険」を考える機会を持ちたい
セリプスキー氏はソフトウェア会社Tableau Softwareのトップを務めた後、2021年にCEOに就任した。AIへの関心の高まりによって企業のクラウド移行へのニーズが高まる時期にAWSを去ることになる。
同氏の後任として、AWSで18年の経験を持つマット・ガーマン氏(AWSセールス・マーケティング・グローバルサービス担当シニアバイスプレジデント)が、2024年6月3日付でCEOに就任する。
Amazonのアンディ・ジャシー氏(社長兼CEO)は2024年4月に開催された同社の2024年第1四半期決算説明会で、「AIの分野は非常に勢いがあり、既に数十億ドルの収益を上げている」と述べた。AWSの収益成長率は前年同期比17.2%に達し、前四半期の同13.2%から上昇している(注3)。
AIモデルをカスタマイズし、生成AIチャットbotのサポートを得るための基盤を企業に提供するというAWSのAI戦略は、成果を上げ始めている(注4)(注5)。
企業がAIが抱えるリスクに懸念を抱く中、ジャシー氏は2024年4月の決算説明会と2024年5月14日に同社の従業員に共有したメッセージの中でAWSのクラウドセキュリティをアピールした。
「前四半期で年間売上高が1000億ドルに達し、前年同期比の売上高が再び伸びていることから、セリプスキー氏はAWSを強力なポジションに押し上げてくれた。そしておそらく最も重要なことはAWSが運用パフォーマンスやセキュリティ、信頼性、サービス全体で広く深くリードし続けていることだ」
クラウド市場において31%という圧倒的なシェアを維持する中、AWSは顧客のクラウドベンダーに対する期待の高まりに応えるサービスを提供することにプレッシャーを感じている(注6)。
Amazonは、今回のトップ交代に関する「CIO Dive」からのコメントの要請にすぐには応じなかった。
ガーマン氏は2024年5月14日、AWSチームに宛てたメッセージの中で「この移行の一環として、当然ながら組織的に調整することになる。今後数週間のうちにその詳細を報告する」と述べた。
(注1)Andy Jassy makes AWS leadership announcement(Amazon)
(注2)Adam Selipsky(X)
(注3)Amazon CEO touts AWS cloud security as AI risk concerns mount(CIO Dive)
(注4)Amazon tempts enterprises to customize AI on AWS(CIO Dive)
(注5)AWS enters enterprise chatbot fray with Q(CIO Dive)
(注6)Enterprise cloud spend jumped in Q4, nudged upward by AI(CIO Dive)
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