セキュリティ担当者の燃え尽き症候群で生まれる損失は年間6億2600万ドルセキュリティニュースアラート

Hack The Boxはサイバーセキュリティ専門家のストレスや疲労、燃え尽き症候群による生産性低下が企業で年間6億2600万ドルの損失を引き起こしていると報告した。

» 2024年06月23日 07時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 Hack The Boxは2024年6月20日(現地時間)、サイバーセキュリティ専門家のストレスや疲労、燃え尽き症候群が生産性の低下を引き起こし、米国企業で年間6億2600万ドル、英国企業で年間1億3000万ポンドの損失をもたらしていると報告した。

8割以上の従業員がストレスや疲労、燃え尽き症候群を経験

 報告によると、従業員の84%がこれらの問題を経験しており、世界のサイバーセキュリティ専門家の74%がメンタルヘルス不調のために休暇を取得したと回答した。

 取り上げられた主な内容は以下の通りだ。

  • 従業員の84%がストレスや疲労、燃え尽き症候群を経験している
  • 世界のサイバーセキュリティ専門家の74%が「仕事関連のメンタルヘルス不調のために休暇を取った」と回答した。スタッフは仕事関連のメンタルヘルス不調のために年間平均3.4日の病欠を取ったと報告している。これは月平均3.4時間、年間5.1労働日の生産性低下につながっており、中規模から大規模の企業において米国で年間6億2600万ドル以上、英国では1億3000万ポンド以上のコストにつながっている
  • 取締役会とサイバーチームの間には大きなギャップがある。世界のCISO(最高情報セキュリティ責任者)の90%が、「ストレスや疲労、燃え尽き症候群が従業員のウェルビーイングに与える影響を懸念している」と回答した。一方でサイバーセキュリティチームのストレスや疲労、燃え尽き症候群によるエラーの増加を懸念しているCEOは全世界の47%にとどまっている
  • 世界のビジネスリーダーの66%がサイバーセキュリティの専門家が「契約時間を超えて働く主な理由としてサイバーセキュリティの脅威と勤務時間外の予測不可能な脅威の増加によるものだ」と述べている
  • 世界のサイバーセキュリティ専門家の89%が、「仕事量や納品すべきプロジェクトの量、タスクの納品に必要な時間が燃え尽き症候群の主な原因である」と回答している
  • 自分のスキルセット外でパフォーマンスを発揮しなければならないというプレッシャーが燃え尽き症候群の2番目の主な原因として66%を占めている
  • 燃え尽き症候群やストレスを避けるためにチームが無理をしているときに臨時スタッフの追加に投資している企業は44%にとどまっている
  • サイバーセキュリティの専門家はスキルセットベースのソリューションを求めているが、従業員が自分の役割を果たせるようにするための最新のトレーニングとツールを確保するためにスキルアッププラットフォームとプロバイダーをアウトソーシングしている企業は47%にとどまっている

 Hack The Boxの創立者でありCEOを務めるハリス・ピラリノス氏は次のように述べている。

 「サイバーセキュリティの専門家はいつかは負けると分かっている戦いの最前線にいる。サイバーセキュリティ業界は困難な業界であり、企業はモチベーションがなければサイバーセキュリティの専門家がトップレベルになることはないということを認識する必要がある。私たちが発見したことは、この仕事がいかに難しいか、そして役員会と専門家の間に大きな理解のギャップがあるということだ」

 Virtually InformedでCTO(最高技術責任者)を務めるサーブ・センビ氏は次のように述べている。

 「サイバーセキュリティにおけるストレスや燃え尽き症候群、メンタルヘルスはかつてないほど高まっている。チームの若手メンバーだけでなくCISOレベルまでもがそうだ。個人的な問題であるため難しいテーマだが、適切なサポートやプロセスを構築することは、従業員や企業にとっても多くのメリットがある。私たちはサイバー危機というストレスの多い状況を効率的に管理するためのツールをサイバーセキュリティの専門家に装備させる必要がある」

 Hack The Boxはサイバーセキュリティのパフォーマンスを向上させるために企業内のメンタルウェルビーイングを優先するように呼びかけている。

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