多くの企業が生成AIの導入を急いでいるが、アクセンチュアによると、多くの企業はまだ実験段階にあり、全社にスケールするのは難しいという。その理由とは。
コンサルティング会社のAccentureが2024年6月20日(現地時間、以下同)、同社が2024年第3四半期に9億ドル、同会計年度で総額20億ドルの生成AI事業の契約を獲得したと発表した(注1)。
同社の2024年5月31日までの3カ月間の契約総額は211億ドルだった。契約総額全体に占める生成AI事業の割合はまだ小さいが、拡大傾向にあり、生成AIの需要が企業の間でますます強まっていることがうかがえる。
一方で、アクセンチュアは、生成AIを全社にスケールさせるのは難しいと指摘する。その理由とは。
Accentureの売上高はコンサルティングとマネージドサービスがほぼ半分ずつを占めており、前年同期比1%減の165億ドルだった。それにもかかわらず、契約件数は前年同期比で22%増加している。
Accentureのジュリー・スウィートCEOは2024年6月20日の決算説明会で、顧客のAI技術の導入意欲が高まり、大規模なデータとERPのモダナイゼーションプロジェクトへの投資が拡大したと述べた(注2)。同氏は「他の全ての生成AIプロジェクトは現在、何らかのデータプロジェクトにつながっている」と述べ、クライアントは自社のデータシステムをアップグレードする必要があることを理解していると指摘した。
企業は、LLM(大規模言語モデル)機能の急速な進歩と技術の使いやすさに魅了され、潜在的な生成AIのユースケースを試験的に導入しようと急いだ。しかし、企業全体に本格的に導入するのは難しく時間のかかるプロセスとなる。
ほとんどの企業にとって、ビジネス全体にAIを導入するにはクラウドベースのインフラや強力なデジタルコア、ERPのモダナイゼーションが必要だとスウィート氏は言う。
「ほぼすべての顧客企業においてAI技術が必要なのはごく一部の業務に過ぎないため、生成AIプロジェクトをスケールさせるのは難しいと感じている」(スウィート氏)
Accentureでは、2024年第3四半期に四半期ベースで契約額が1億ドルを超えるクライアントが23社増え、通期の大口顧客数は前年同期の85社から92社に増加した。
スウィート氏によると、Accentureのクライアントのほとんどは生成AIの「実験段階」にあるという。同社の顧客はクラウドやデータ、アプリケーションのモダナイゼーションに重点を置いている。
他のカテゴリは減り続けており、特に意思決定や、投資ペースが遅くなりがちな小規模プロジェクトが減少しているという。
同社はデータスキルに重点を置いたAI人材を社内で育成している(注3)。現在、同社にはデータおよびAIの専門家が約5万5000人おり、2026年度末までに8万人にしようとしている。
KC・マクルーア氏(CFO《最高財務責任者》)は、10億ドルを投じたAIスキル強化の一環として「2024年3月に学習プラットフォームのUdacityを買収し、2024会計年度でM&Aポートフォリオの構築に52億ドルを費やした」と決算会見で述べた(注4)。
(注1)Accenture Reports Third-Quarter Fiscal 2024 Results(Accenture)
(注2)Accenture plc (ACN) Q3 2024 Earnings Call Transcript(Seeking Alpha)
(注3)Accenture to invest $3B in AI and double AI workforce(CIO Dive)
(注4)Accenture to buy Udacity, pledges $1B more in AI skills push(CIO Dive)
(初出)Accenture banks $2B in AI deals as enterprises double down on data
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