AIをはじめとした最新のデジタル技術でさらに進化を遂げようとしている「BPO」。NTT Comとトランスコスモスの戦略的事業提携から、その最新の動きを探る。
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コア業務以外の業務を切り出して外部事業者に委託することで、自社の競争力に関わる事業に費すリソースを増やすBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)。そのBPOサービスが、AIをはじめとする最新のデジタル技術でさらに進化を遂げようとしている。
NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)とトランスコスモスが2024年7月17日に発表した戦略的事業提携は、それを象徴した動きだ。AIなどを利用することでBPOはどう変わるのか。BPOの進化がDXにもたらす影響を考察する。
両社の提携内容は、NTT版LLM(大規模言語モデル)「tsuzumi」をはじめとしたICTソリューションを提供するNTT Comと、コンタクトセンターをはじめとする幅広いBPO事業を展開するトランスコスモスが、AIを活用したBPOソリューションを共同で開発し、販売するというものだ。第一弾として、生成AIを活用したコンタクトセンターの共同開発や、GX(グリーントランスフォーメーション)ソリューションおよび自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションの提供を開始した。
両社が同日開催した記者説明会では、NTT Com代表取締役社長の小島克重氏、トランスコスモス代表取締役共同社長の牟田正明氏が登壇した。以下、両氏による説明のエッセンスを紹介する。
両社は今回の提携に至った背景として、「少子高齢化、労働人口減少による人材確保への対応」「加速度的なITの進化とセキュリティへの対応」「ESG(環境・社会・ガバナンス)経営をはじめとする複雑な社会要請への対応」といった3つの社会課題を挙げた。その上で「これらに対応するためには、個社での取り組みには限界がある。アウトソーシングによる事業の選択と集中が、これからますます求められていく」(牟田氏)との見方を示した(図1)。
そうした中で両社は、それぞれの強みを持ち寄れば、これら3つの社会課題に対応したソリューションをワンストップで提供できると判断し、今回の事業提携に至った(図2)。
具体的な提携内容は、「新規ソリューションの共同開発」および「顧客への導入・運用」での連携だ。
新規ソリューションの共同開発では、tsuzumiを活用した次世代コンタクトセンターの開発や、教師データの提供による高精度な生成AIソリューションの開発を進める。また、経理・人事のバックヤード業務など、業界横断の共通業務の課題解決に向けて、インフラ技術と専門人材をパッケージにした新たなソリューションの開発を行う計画だ。
この新規ソリューション領域を、トランスコスモスでは「Digital BPO」と呼ぶ。Digital BPOは「BPO業務とデジタル技術を融合した顧客業務の変革支援サービスの総称」で、同社の登録商標である。
一方、顧客への導入・運用では、両社で開発したGXソリューションや自治体DXソリューションをお互いの顧客に共同で提案、提供する(図3)。
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