MastercardはRecorded Futureを買収し、決済エコシステムのセキュリティを強化すると発表した。Recorded Futureは45カ国の政府機関や多くの大企業にAIを活用した脅威予測サービスを提供している。
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Mastercardは2024年9月12日(現地時間)、Recorded Futureの買収を発表した。この買収によって、決済エコシステムのセキュリティが一層強化されることが期待されている。
Recorded Futureは、全世界の45カ国の政府機関や「Fortune 100」企業の50%以上を含む、75カ国にわたる1900社以上の顧客を抱えているセキュリティ企業だ。同社は、多くの大企業に脅威インテリジェンスを提供しており、高度なAIとデータ分析能力を活用して新たな脅威を予測している。
Mastercardは今回の買収によって詐欺防止などのサイバーセキュリティサービスをさらに強化し、加盟店や金融機関への支援を拡大する。買収の完了時期は2025年第1四半期を予定している。
サイバー犯罪による被害額は2024年には世界全体で9兆2000億ドルに達すると予測されており、企業にとってサイバー防御の重要性はかつてないほど高まっている。Mastercardは、Recorded Futureの高度なAIとデータ分析能力がMastercardの詐欺防止などのサイバーセキュリティサービスを強化できるとしており、加盟店や金融機関のネットワークに脅威インテリジェンスを提供できると期待されている。
Mastercardの最高サービス責任者であるクレイグ・ボスバーグ氏は「信頼はあらゆる関係の基礎です。Recorded Futureは決済取引の前、取引中、取引後に、より大きな安心を提供する方法を追加する。私たちは共に、より迅速な技術革新を実施し、よりスマートなモデルを構築し、サイバー攻撃が実行される前に新たな脅威を予測する」と述べている。
Recorded FutureのCEOのクリストファー・アールバーグ氏は「15年前、私たちは『インテリジェンスで世界を安全にする』というシンプルな目標を掲げ、Recorded Futureを設立した。Mastercardに加盟することで、より多くの企業や政府がその潜在能力を十分に発揮するためのステップを決定するのを支援し、全ての人が日常生活でより安全を感じられるようにするチャンスがあると考えている」と話した。
両社はすでにカードが不正利用された可能性がある場合に金融機関に警告するAIサポートサービスを協力して提供しており、不正利用されたカードの特定率を前年比で2倍に向上させる成果を上げたと報告している。
この買収によりMastercardの世界的な決済サービスとRecorded Futureの脅威インテリジェンスの専門知識が統合され、商取引により高度なセキュリティとインテリジェンスが提供されることが期待されている。
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