「AIエージェント」とは何か、何ができるのか セールスフォースの会見から読み解くWeekly Memo(1/2 ページ)

企業のAI活用で注目度が高まっている「AIエージェント」。AIエージェントとは何か、一体何ができるのか。どのような目的での利用が想定されているのか。セールスフォース・ジャパンの会見から、その正体を探る。

» 2024年10月28日 15時30分 公開
[松岡 功ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 企業におけるAI活用で、生成AIに続き、「AIエージェント」という新たな技術が注目されている。

 業務アプリケーションをクラウドサービスで提供するSaaS(Software as a Service)ベンダー大手が、自社製品向けのAIエージェントを相次いで発表している。相次ぐ発表の中でも、米Salesforceの日本法人セールスフォース・ジャパンが開いた記者会見が興味深かったので、今回はその内容を紹介し、AIエージェントについて考察したい。

AIエージェントとは何か? AIは「使う」ものから「雇う」ものへ

 AIエージェントとは何か。何ができるのか。

 セールスフォース・ジャパンは2024年10月18日、CRM(顧客関係管理)を軸としたSalesforceプラットフォーム上で利用できるAIエージェント機能「Agentforce」(エージェントフォース)の第一弾サービスを日本市場で同年10月30日に提供開始すると発表した。AgentforceはSalesforceが米国で同年9月に発表し、同年10月25日に提供開始したもので、日本語対応の上、日本でも米国と時間差がほぼない形での提供開始にこぎつけた。第一弾サービスの内容については発表資料をご覧いただくとして、本稿では、この発表会見での説明からAIエージェントの正体を探っていこう。

セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 製品統括本部 統括本部長の三戸 篤氏

 「企業のAI活用は、対話型アシスタントの生成AIから自律的に動くAIエージェントへと広がっていく。これに伴い、AIはこれまで『使う』ものだったが、これからは『雇う』という捉え方も広がるだろう」

 セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 製品統括本部 統括本部長の三戸 篤氏は、発表会見でこう語った(図1)。図1にはAI活用の変化として、第1波の「予測」、第2波の「対話型アシスタント」に続いて、第3波に「AIエージェント」として、米国での早期試行ユーザーのコメントも掲載している。さらに、第4波として記されている「ロボティクス」も輸送や物流の分野の大きな変革につながるだろう。

図1 AIの第3波は「AIエージェント」(出典:セールスフォース・ジャパンの会見資料)

 三戸氏に続いて、同社 製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 シニアマネージャーの前野秀彰氏が、Agentforceについて以下のように説明した。

 前野氏が、三戸氏の話を受けてさらに掘り下げたのが、生成AIとAIエージェントの違いだ(図2)。

図2 生成AIとAIエージェントの違い(出典:セールスフォース・ジャパンの会見資料)

 「図の左側は生成AIの活用を示したもので、目的は個人の生産性向上にある。営業の事例で言うと、『この見込み客の情報をサマリして教えて』と聞けば整理された情報が返ってきて、その内容を基に営業活動を実施するという使い方だ。これに対し、右側に示したAIエージェントの目的は組織労働力の大幅な強化にある。活動の流れの中でAIエージェントが『見込み客リストから商談を創出しておきますね』と対応してくれる。つまり、対話型から自律型へ、個人から組織へと、捉え方が根本的に変わる」

 図2の表題に「AIは“個人”の強化+“組織”の強化へ」と記されているように、生成AIは個人向け、AIエージェントは組織向けにそれぞれ適用が広がるということだろう。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR