「Dell AI Factory」のラインアップを拡張 AI処理の「熱」「CO2排出」を抑制：技術トレンド

Dell Technologiesは「Dell AI Factory」の拡張を発表した。AIワークロード向けの最新サーバやデータ管理ソリューション、専門サービスを提供する。

[後藤大地，有限会社オングス]

　Dell Technologiesは2024年11月19日（現地時間）、「Dell AI Factory」の拡張によるAI導入を支援する新たなインフラとサービスを発表した。AI向けに設計されたPowerEdgeサーバやNVIDIAとの連携で生成AIモデルの効率向上を実現した。また、データ管理ソリューション「Dell Data Lakehouse」の強化により、企業はAIタスクのデータを効率的に処理できる。DellはこれらのAI関連製品やサービスを提供することで、企業の未来のAI活用を見据えた取り組みを支援する。

Dell Technologies Boosts AI for Enterprises with Dell AI Factory Advancements｜Dell USA（出典：Dell TechnologiesのWebサイト）

AIワークロードの「熱」問題を考慮

　2024年11月19日に発表されたのは、企業のAI導入を支援する新たなITインフラおよびソリューション、サービス群だ。

　AIインフラ向けには、AIワークロードに特化した最新のサーバ群として、「Dell Integrated Rack 5000」（IR5000）を搭載した「Dell PowerEdge XE9685L」および「Dell PowerEdge XE7740」をリリースする。

・「PowerEdge XE9685L」：　デュアル第5世代AMD EPYCプロセッサーおよびNVIDIA HGX H200を搭載した液冷サーバ。AIやマシンラーニング（ML）、ハイパフォーマンスコンピューティング（HPC）、その他のデータ集約型ワークロード向けに設計・構築されている

・「PowerEdge XE7740」：　空冷設計を採用し、柔軟なGPU構成を提供するサーバ。生成AIモデルの微調整や推論、大規模データセットからの価値抽出までワークロードに合わせたサーバを構成できる

　今後発売予定の「NVIDIA GB200 Grace Blackwell NVL4」を「Dell Integrated Rack 7000」（IR7000）用に設計された新しいDell PowerEdge XEサーバでサポートする。Dell IR7000は最大144基のGPUを収容できるよう設計されており、これにより大規模HPCおよびAIワークロードを支援する。

　「Dell Data Lakehouse」のアップデートも発表されている。このアップデートにより企業はAIタスクのデータを効率的に管理および分析できる最新のアーキテクチャーを利用できるようになる。このプラットフォームはAIに最適化されたハードウェアおよびフルスタックのソフトウェアスイートを基盤に構築されており、大規模な分散データを処理できるよう「Apache Spark」も組み込まれている。

　AI導入を促進することを目的とした新たなソリューション群も発表された。

Dell AI Factory with NVIDIA

　「Dell AI Factory with NVIDIA」のアップデートでは、AIの運用とユースケースの展開におけるパフォーマンスが向上し、成果を得るまでの時間が短縮される。NVIDIA HGX H200およびH100NVLのサポートオプションが、NVIDIA HGX H100と比較して最大1.9倍のパフォーマンスを実現する。

　Dell AI Factory with NVIDIAの一部である「Dell Agentic RAG with NVIDIA」ではRAG（検索拡張生成AI）ワークフローを効率化し、大規模データセットの活用を促進する。このソリューションはDell PowerEdge、Dell PowerScale、「NVIDIA AI Enterprise」「NeMo Retriever NIM」「NeMo Retriever」、マルチモーダルPDFデータ抽出用「NVIDIA AIブループリント」などの生成AIツールを活用する。

　「Dell Validated Designs for AI PC」は、NPUテクノロジー搭載の「Dell AI PC」によるAIアプリケーションの開発を促進するように設計されたオープンソースガイド。開発者はモジュラーデザインを簡単にカスタマイズして、大規模言語モデル（LLM）やビジョン、テキスト、音声などの機能をアプリケーションに統合可能だ。

AIワークロード周辺の業務支援向けサービス群も

　「Dell Professional Services」として、電力消費量の抑制や、廃熱、温室効果ガス管理、AI向けのデータカタログ、ネットワーク最適化など、AIワークロード処理に付随する業務を効率化するツール群も提供する。

・「Advisory and Implementation Services for Sustainable Data Centers」：　エネルギー効率を向上させるための戦略を策定、実施するための専門知識を提供する。インテリジェントな電力および冷却管理によってデータセンターの温室効果ガス排出量を削減し、サステナビリティー目標達成を支援する

・「Data Management Services」：　データの検出、分類、調整によるAI対応カタログを提供する。整理された高品質なデータへアクセスを保証する

・「Design Services for AI Networking」：　AIワークロードに最適化されたネットワークデザインを提供し、より高速なスピード、遅延の削減、拡張性の向上を実現する

・「Implementation Services for ServiceNow Now Assist」：　Now Assistを通じて生成AI機能をサービス管理ワークフローに統合する。これによりAI主導のサマリーを通じてコンテンツ収集を合理化でき、結果を自動化して生産性を高められる

　Dell Technologiesは「Dell AI Factory」の拡張を通じてAI関連製品やサービスを幅広く提供することで、企業の未来のAI活用を見据えた取り組みを支援するとしている。