企業がAIエージェントを活用しようとする際に、AIエージェントをいかにマネジメントすべきかが問題となる。NTTデータのAI事業のキーパーソンにAIエージェントのマネジメント対策や現時点での利用状況、今後の展望を聞いた。
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企業が「AIエージェント」をうまく活用していくにはどうすればよいのか。筆者は活用できるかどうかの分かれ目となりそうなマネジメントの問題を「AIマネジメント」として提起し、その現状や課題、対策について、国内ITサービスベンダー大手のAI事業のキーパーソンに取材した。
4社取材企画の1回目となる本稿では、NTTデータグループの本橋賢二氏(グローバルイノベーション本部 Generative AI推進室 室長)に話を聞いた。
同氏が説くAIマネジメント対策はどのようなものか。ユーザー企業の現時点でのAIエージェントの利用状況や、今後発生しそうな課題、単なる業務プロセス効率化にとどまらない、AIエージェント活用の「次のステージ」についても紹介する。
2024年後半から注目を集めるAIエージェントだが、企業での利用状況はどうなのか。本橋氏は次のように述べた。
「ここにきてAIエージェントのサービスが相次いで登場しているので、まずは試しに使ってみようという企業が出ている段階だ。当社のお客さまでも先進的なところは実証実験を終えて本格的な利用に向けて動き出している。2025年は多くの企業がAIエージェントを順次本格的に活用することになるだろう」
本橋氏の話からすると、AIマネジメントの問題はこれから発生するということだろう。現状を踏まえ、AIエージェントの可能性と課題について同氏はどのように見ているのか。まず、可能性については次のような見方を示した。
「これまでの生成AIはタスク処理を効率化するものだったが、AIエージェントはそこから進展して業務プロセスを効率化、さらに自動化するものなので、コスト削減や生産性向上といった業務改善効果が格段に期待できる。さらに各業務のAIエージェント同士が連携して自律的に作業を実施するようになると、もっと広い範囲の業務プロセスの効率化が可能となり、ワーカー(人間)を強力にサポートしてくれる存在になり得る。こうなると、労働人口減少という日本の深刻な社会問題の解決にも寄与する可能性も大きくなるだろう」(図1)
一方、課題については、「まずはハルシネーション(事実と異なる情報の生成)や著作権侵害、セキュリティといった生成AIそのものへの懸念がある。そしてそれにも関連するが、業務の異なるAIエージェントに対してそれぞれに適切なデータをどのように収集して管理し活用するのか。また、それぞれのAIエージェントを適切に運用できるのか。そもそもAIエージェントを構築する方法論がまだ確立されていないので、現状では利用に向けて手探りのところも多い」と指摘した。
確かに、現状で提供されているAIエージェントのサービスは、SaaS(Software as a Service)によって個別の業務アプリケーションに適用されているものが多い。今後、それらを合わせた業務全体の効率化、そして自動化を図るにはどうすればよいのか。それこそが、AIマネジメント対策だ。
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