AIエージェント元年に知っておくべき光と闇CIO Dive

生成AIの普及に伴い、それを発展させたAIエージェントの需要が高まっている。AIが自律的に動作できるようになれば、仕事のやり方も大きく変わる。ただし、悪用などのセキュリティリスクには注意が必要だ。

» 2025年03月17日 08時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

 Saleceforceは、自律的に稼働するAIエージェント「Agentforce」のフルバージョンを2025年2月に提供すると発表している。同社によれば、AIエージェントが生産性を大きく向上させるとして、5人中4人以上の経営幹部が今後3年以内にAIエージェントの導入を計画しているとある調査は発表している。一方で、備えるべきリスクもあるようだ。

2025年はAIエージェント元年 現時点のトレンド

 Salesforceは2025年12月17日(現地時間、以下同)、事前に構築されたスキルやワークフロー統合のライブラリを備えた「Agentforce」プラットフォームの第2世代を発表した。

 Agentforceを初期から導入している企業として、AccentureやIBM、Indeedが挙げられる。Salesforceが提供するAIエージェントのフルバージョンは2025年2月に一般提供を開始する予定だが、一部の機能は2024年12月および2025年1月から利用できる。また、2025年1月からはAgentforce 2.0を「Slack」にも導入できるようになった。

 SalesforceはAgentforce 2.0をデジタルワークフォースを管理するための主要なプラットフォームとして提案しており、AIエージェントを使った生産性向上に関して企業の支持を得るべく取り組んでいる。

 同社のアダム・エバンズ氏(AI担当エグゼクティブバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー)は、2025年12月17日のイベントで次のように述べた。

 「生産性を次のレベルに引き上げるために必要なのは、自律的に行動を起こせるエージェントだ。ただ反応する副操縦士のような存在ではなく、積極的に動けるエージェントが求められている」(エバンズ氏)

 顧客が早期に費用対効果を出したい中、SAP SEやMeta、Microsoft、Googleはエージェント機能やユースケースに関連するメッセージに力を入れている(注1)。

 企業はまだ生成AIの導入と実装に取り組んでいるが、リーダーらはすでに次のステップを見据えている。欧州のコンサルティング企業Capgeminiが2024年7月に実施した調査によると、5人中4人以上の経営幹部が今後3年以内にAIエージェントの導入を計画しているという(注2)。

 Salesforceはこの初期段階の需要に応えている。マーク・ベニオフ氏(CEO)は2024年12月初めの決算説明会で、1週間で200件のAgentforceの契約が成立し、さらに数千件の取引が控えていると述べた(注3)。FedEx、Saks Fifth Avenue、World Marketはこのプラットフォームの初期からのユーザーだ。

 ベニオフ氏は2025年12月17日のイベントで、Salesforceはこのプラットフォームを推進するために約2000人の営業スタッフを採用する予定だと述べた。

 「デジタル労働はビジネスにとって新たな地平線だ。われわれのビジネスの設計、運営方法や人員配置、そしてビジネス関する考え方は今後決して同じままではないだろう」(ベニオフ氏)

 優れた可能性を秘めたAIエージェントは業界や職務を問わず広がっているが、成熟したセキュリティとガバナンスがなければ企業は苦戦を強いられるとアナリストは警告する。Gartnerは2028年までにAIエージェントの悪用が企業におけるセキュリティ侵害の約4分の1を引き起こすと予測している(注4)。

 業界の専門家はエージェント型AIの労働力は2025年には倍増すると予想している(注5)。経営幹部はエージェント型AIと人間の労働者で構成されるチームの管理に適応しなければならなくなるだろう。しかし、企業はこの課題にどう対処するか、まだ明確な答えを見いだせていない。

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