業績低迷中の小売店、AI活用で効率化とコスト削減を狙うCIO Dive

業績低迷に苦しむWayfairがGoogle Cloudとの連携を拡大し、AI活用による効率化とコスト削減を順調に進めている。商品タグ付けの自動化やカタログの拡充などにより、次世代小売体験の構築を目指す。

» 2025年02月20日 10時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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CIO Dive

 家具やインテリア商品を扱うオンライン小売企業のWayfairは、従業員の業務効率改善と運用コスト削減を達成したことを受けてGoogle Cloudとの提携を拡大したと発表した(注1)。

 同社は数千人の従業員に「Google Workspace」を導入し、「Vertex AI」上の「Gemini」モデルを活用する計画だ。

 発表によると、同社ではカスタマイズ版Gemini「Gems」を使用することですでに従業員の生産性向上が見られている。

 Wayfairは属性タグ付けなどの面倒な手作業を自動化することで、年間1500万円以上のコスト削減が見込まれると両社は述べている。また、Geminiは商品リストの品質と属性情報の正確性を高め、顧客体験の向上に役立つという。

 Wayfairは業績の低迷を受けてAIへの取り組みを強化している。信用調査機関CreditRiskMonitorによると、同社は2025年、倒産リスクが高まっている(注2)。需要の低下が収益の減少を招き、店舗の閉鎖やレイオフにつながっている(注3)(注4)(注5)。

 同社は特に短期間で効果が現れる技術のアップグレードを通じてコスト削減を図ることを目指す。

 「当社は長い間、機械学習やデータサイエンスを積極的に活用してきた」とニラジ・シャー氏(CEO)は2024年11月の決算説明会で述べた(注6)。同社は生成AIの導入にも積極的だと自負しているようだ。

 「商品と属性のタグ付けを自動化するためにAI技術を使用すれば、わずかなコストで価値を高められる」とシャー氏は話す。また、同社は生産性向上のためにソフトウェア開発チーム向けのコパイロット型ツールの開発にも取り組んでいる。さらに、カスタマーサービス担当者の支援にも積極的だ。

 Wayfairのフィオナ・タン氏(CTO《最高技術責任者》)は発表の中で次のように話す。

 「われわれは生成AIが次世代の小売体験を切り開く鍵になると信じている。Google Cloudを利用することで商品カタログの効率的な拡充が可能になり、顧客によりシームレスで魅力的なショッピング体験を提供できるようになった」

 顧客もAIに注目している。美容・ファッション関連のデジタルソリューションを提供するPerfectが2024年12月に発表した調査によると、ホリデーシーズンの買い物客の半数以上がすでに買い物の際にAI技術を利用しているか、シーズン中に利用する予定があると回答した(注7)。また、SalesforceはAIによってホリデーシーズンに約2000億ドルもの売上につながると予測している(注8)。

 ほとんどの消費者がホリデーシーズンのショッピングでAI技術を歓迎する一方で、懸念も残っている(注9)。アナリストたちは企業が顧客と信頼関係を築くために、AIの使用における透明性を確保することを推奨している(注10)。

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