企業のAIニーズは衰えず 成長のカギを握るのはエンジニアのスキルアップCIO Dive

AIスキルは多くの企業で求められているが、十分なスキルを備えた人材の採用は難易度が高く、AIプロジェクトにアサインされても苦戦する開発者は多いのが現状だ。企業のAI人材を調達する能力が問われている。

» 2025年02月25日 10時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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CIO Dive

 2025年1月8日(現地時間)に発表されたIBMの調査によると、エンジニアは生成AIツールや生成AIアプリケーションの開発に苦戦していることが分かった(注1)。

成長のカギを握るのはエンジニアのスキルアップ

 この調査は、データ分析会社Morning Consultが米国を拠点とする1000人以上の企業のAI開発者を対象に実施したものだ。

 報告書によると、大企業向けのツールにおいて、開発者らは高性能や柔軟性、使いやすさを重視しているが、これらの特徴は現在利用可能なソリューションの中で最も欠けている要素だという。なぜこれらが欠けてしまうのだろうか。

 大企業向けツールの開発者は通常、AIアプリケーションの作成に5〜15のツールを使用している。開発者の1割以上は15個以上のツールを開発の過程で活用しており、ほぼ全ての開発者が時間短縮のために何らかの形でコーディングアシスタントを利用しているという。

 大企業向け生成AIアプリケーションの開発は業界を問わず重要だが、ツールや技術スタックの複雑さがその取り組みを妨げる要因になり得る。

 生成AIの導入競争が始まって以来、AI開発者の重要性はますます高まっている。2024年9月に発表されたStack Overflowの調査によると、2024年のAI開発者の年収は約16万ドルで、初めて高収入な職種トップ10に入った(注2)。

 AIに特化した職業はまだ比較的新しいが、大企業は高い関心を寄せている。スタートアップ企業を対象としたベンチャーキャピタルのSignalFireの報告によると、機械学習とAIエンジニアリングの職種は2014年から27倍に増加している(注3)。これに対し、クラウドエンジニアリングとDevOpsの職種は、同期間に約3倍の増加にとどまっている。

 転職市場が拡大する中、企業は開発者の業務体験をより良いものにし、従業員の意欲を保てるよう取り組んできた(注4)(注5)。例えば、JPMorgan Chaseは環境が複雑化する中でもワークフローの簡素化に注力した。

 また、AIには技術者が自身のスキルを高められるという潜在的なメリットもある。オンライン学習プラットフォームを提供するO’Reillyのデータによると、プロンプトエンジニアリング講座の需要は前年比456%増だったという(注6)。

 生成AIが既存のワークフローや職務内容を再編する中で、Gartnerは2027年までにエンジニアの5人中4人がスキルアップが必要になると予測している(注7)。

 AIの取り組みのリーダーを担うことが多いCIO(最高情報責任者)は、AI導入が進むに伴い、チームの成功に必要なことを経営幹部や取締役会に伝える必要がある(注8)(注9)。

 Gartnerのティナ・ヌンノ氏(ディスティングイッシュドバイスプレジデントアナリスト)は、2024年10月に開催されたカンファレンスで次のように述べた。

 「企業がAIスキルを持つ人材を採用したりトレーニングしたり、外部から調達したりする能力について非常に現実的に考える必要がある。これは特に難しい課題になっている」

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