ServiceNow、マルチベンダーのAI連携を強化する「AI Control Tower」と「AI Agent Fabric」を発表

ServiceNowは、各種のAIエージェントやワークフローを中央集権的に管理する「AI Control Tower」とマルチベンダーを含むAI連携を強化する「AI Agent Fabric」を発表した。

» 2025年05月13日 08時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

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 AIエージェントを業務で活用する中で、複数ベンダーのAIエージェントをどのように利用、管理するか。

 ServiceNowは2025年5月6日(現地時間、以下同)、同社の年次イベント「Knowledge 2025」で、AI活用基盤「ServiceNow AI Platform」の新機能となる「AI Control Tower」(以下、AIコントロールタワー)と「AI Agent Fabric」(以下、AIエージェントファブリック)を発表した。

マルチベンダーのAIエージェントをどう管理する?

 AIコントロールタワーは各種AIエージェントやモデル、ワークフローを統合プラットフォームで集権的に統括、管理、保護する中央指令センターとしての機能を提供する。この機能により企業はAIの価値を引き出しながらAI投資の最適化を図り、エンタープライズ戦略に統合できるという。

 今回発表された新機能の詳細は次の通りだ。

 この新機能は、ServiceNow AI Platformの全てのワークフローに組み込まれ、AIエージェントの統合管理機能「AI Agent Orchestrator」(AIエージェントオーケストレーター)を基盤に構築されている。AIエコシステム全体にわたる戦略、ガバナンス、パフォーマンス、管理を一元化し、エンタープライズレベルのコンプライアンスと説明責任の推進を支援する。

 具体的にはエンタープライズ全体のAI可視性、統合的なGRC(ガバナンス、リスク管理、コンプライアンス)機能、エンド・ツー・エンドのライフサイクル管理、リアルタイムレポート、AIとビジネス戦略の整合性といった機能を提供する。

 AIの可視化は、ServiceNowおよびサードパーティー製のAIエージェント、モデル、ワークフローを一元的に監視・管理し、全社にわたる一貫したポリシーの適用を可能にする。

 GRC機能は組み込み型のため、セキュリティやプライバシーを含むリスクを能動的に管理し、AIライフサイクル全体にわたってコンプライアンス監視する。

 ライフサイクル管理は、アイデア創出から導入、最適化まで、AIコントロールタワーが文脈に応じた意思決定を可能にし、エージェンティックオペレーションのエンドツーエンドのライフサイクル管理を実現することで、企業全体にガードレールの適用を支援する

 リアルタイムレポート機能は、動的なダッシュボードにより業務の洞察を提供し、生産性や収益への影響といった主要なビジネス成果に対するAIのパフォーマンスを検証し、それに基づいてAIエージェントが行動を取れるようにする。

 AIとビジネス戦略の整合性向上については、企業がAIの取り組みと企業全体のビジネスおよびテクノロジー戦略をより適切に一致させ、価値創出を支援する。

 ServiceNowのCPO(最高製品責任者)兼COO(最高執行責任者)のアミット・ザヴェリー(Amit Zavery)氏は、「AIエージェントの活用が広がる中、その業務の調整は人間の従業員を指揮するのと同様に重要かつ複雑であり、企業はこの新たなデジタルワークフォースを管理するための新しいツールを必要としている。AIコントロールタワーを活用することで、企業は人間の従業員を管理するのと同じようにAIワークフォースを統括し、各エージェントの連携、調整、最適化を実現し、ビジネスインパクトの創出を支援する。ServiceNowにより、強力なワークフローとガバナンス、シームレスなオーケストレーションをエージェンティックAIと組み合わせることで、AIをスケールさせ、現実的かつ測定可能な成果を生み出せるようになる」と説明する。

AIのオーケストレーションを拡張

 併せて発表されたAIエージェントファブリックは、ServiceNowおよびサードパーティー製のAIエージェント間や複数モデル間のコミュニケーションとコラボレーションを強化するソリューションだ。

 MCP(モデルコンテキストプロトコル)やA2A(Agent2Agent Protocol)といった共通プロトコルを使いAIエコシステム全体の通信基盤として機能し、AIエージェント間、AIエージェントとツール間、エージェンティックシステム間をシームレスに連携する。これにより各種AIエージェントが統合されたインテリジェントシステムの一部として機能し、リアルタイムかつ動的な情報交換やタスク調整、アクションの実行が可能になる。

 AIエージェントファブリックの機能はServiceNow製だけでなく、AccentureやAdobe、Box、Cisco、Google Cloud、IBM、Jit、Microsoft、Moonhub、RADCOM、UKG、Zoomといったパートナー企業によるエージェントにも提供されており、ServiceNowのマーケットプレイスで入手できる。また、「ServiceNow AI Agent Studio」で独自のAIエージェントを構築し、提供することも可能だ。

 これらのAIエージェントファブリック機能を組み合わせて活用することで、企業は幅広いプラットフォームとサービスにわたるAIを活用したワークフローの最適化を実現できるという。

 なお、AIエージェントファブリックは、「Workflow Data Fabric」(ワークフローデータファブリック)を補完するもので、構造化データ、半構造化データ、非構造化データ、ストリーミングデータを含むあらゆるデータを、ServiceNowの内外にかかわらずエンタープライズ全体で接続・理解・活用できる統合データレイヤーだ。ServiceNowは、ワークフローデータファブリックとAIエージェントファブリックの両方を提供することで、AI、データ、ワークフローを統合し、インテリジェントにオーケストレーションされたエージェンティックAIでビジネス全体の促進を支援するとしている。

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