セブン-イレブンは約2万1000店舗のフルクラウドで構築した。顔認証や30万台の汎用端末、Google Cloud、ITSMなどを活用し、業務の効率化と柔軟性を実現する。
日本電気(以下、NEC)は2025年5月22日、セブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン‐イレブン)向けに、国内約2万1000店舗の発注、商品管理、従業員管理などの業務を効率化および高度化する次世代店舗システムを構築したと発表した。本システムは2025年春から順次、全国の店舗へ導入される予定だ。コンビニ業界初という取り組みの全貌とは。
小売業界は、労働人口の減少による人手不足や人件費の上昇、人材育成の負担増加といった課題に直面している。特にコンビニエンスストア業界は、多様なサービス提供によって業務が複雑化しており、店舗運営における教育や業務負担の軽減が求められている。
このような背景の中、セブン-イレブンはNECと協力して業務システムをフルクラウドで構築した。これは国内のコンビニエンスストア業界で初めての取り組みだという。時代の変化や消費者ニーズの多様性に対応できる拡張性と柔軟性を確保するため、各種ITサービスを積極的に採用しているという。
NECは、価値創造モデル「BluStellar」のアプローチに基づき、アプリケーションやインフラ、端末管理、認証基盤、システム運用などの幅広い領域で、店舗業務の知見を生かした技術革新に挑戦し、構想立案から運用までをサポートしている。
次世代店舗システムの開発には「Google Cloud」を使用し、マイクロサービスアーキテクチャーを導入することで、将来の変化にも柔軟に対応できるシステム構造を構築した。また、約30万台のモバイル端末やタブレットなどの汎用(はんよう)端末を業務に活用し、店舗従業員の利便性を向上させている。これらの端末には「Omnissa Workspace ONE」が利用されている。
さらに、約40万人の店舗従業員を対象に、業務システムのログインと権限制御にNECの顔認証技術を活用している。これにより、IDやパスワードの運用管理が不要となり、シームレスな認証およびセキュリティの強化が実現した。
マルチベンダーでのシステム運用の効率化も図られており、ServiceNow JapanのIT Service Management(ITSM)を活用し、障害状況や問い合わせ情報などを一元化した統合的な運用のダッシュボードを構築した。これにより、迅速なインシデント解決が可能となり、コールセンターの統合によって店舗からの問い合わせ窓口も一元化した。
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