SonatypeはSBOM(ソフトウェア部品表)については、法令順守だけでなく供給網の安全確保における中核的要素だと解説した。運用や自動化、可視化など5つの課題を挙げ、その実践的手法を提示している。
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Sonatypeは2025年8月13日(現地時間)、SBOM(ソフトウェア部品表)がソフトウェアセキュリティにおいて単なる法令順守の項目から、供給網の安全性を確保するための中核的要素へと位置付けられている現状を解説した。SBOMは供給網リスクや変化する規制およびAI生成コードの複雑性に対応するための透明性を提供する手段としている。
Sonatypeは先進的な組織が取り組むべき5つの主要課題を提示し、それぞれの実践的な回答と方法論を示している。
「SBOMは法令順守のためか安全性確保のためか」という問いについては、両者を目的とするものであり、単に作成するだけでは十分ではないと指摘。高品質なSBOMを作成し、ソフトウェア構成解析(SCA)と組み合わせることで、リスクの特定や統治ルールの適用、迅速な是正措置が可能になるとしている。
「大規模環境における適切なSBOM運用」については自動化や相互運用性、統合が鍵と説明する。CycloneDXやSPDXといった標準仕様を採用することで生成の効率化や翻訳エラーの低減、国際的な規制要件への適合が容易になると述べている。
「既存のセキュリティツールを保有している場合」の課題として、ツールの乱立による情報過多と明確性の欠如が挙げられている。SBOMはノイズの中からシグナルを生み出す存在であり、脆弱性と特定コンポーネントの関連付けやチーム間の責任所在の明確化、未知の依存関係の検出を可能にする手段になるとしている。
「AI生成コードや出どころ不明のコンポーネント」については、第三者コード断片や未知のパッケージを含む可能性があり、ライセンスや安全性の観点からリスクを伴うと説明した。
SBOMは埋め込まれたモデルやライブラリーの可視化、不明なパッケージの検出、依存関係のハッシュ比較による再パッケージ化コンポーネントの識別ができるとした。AI生成コードも他の依存関係と同様にSBOMに含め、追跡可能性を確保することを推奨している。
「経営層の理解を得る方法」については、SBOMを単なるコストではなく収益および事業防衛のための資産として位置付けるべきと述べている。インシデント対応時間の短縮、顧客や取引先への迅速な説明、規制要件による契約阻害の防止といった具体的な経済的効果を示せるという。
SBOMは静的な書類ではなく、運用によって価値を発揮する動的な資産と位置付けられている。組織がSBOMを業務プロセスに組み込み、継続的に活用することが、より堅牢(けんろう)で適合性の高いソフトウェア供給網を構築する鍵になると結論づけている。
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