ウォルマートはどこでAIエージェントを使っているか CTOが公開CIO Dive

世界的な企業がAIの進化に対応するため、次々にテクノロジー領域におけるリーダー陣を強化している。ウォルマートもAIプラットフォーム担当のバイスプレジデントという新しい役職を設け、4つのAIエージェントを導入した。

» 2025年09月10日 08時00分 公開
[Roberto TorresCIO Dive]

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CIO Dive

 Walmartのダグ・マクミロンCEOが2025年7月23日(現地時間、以下同)、SNSの「LinkedIn」に投稿した内容によると(注1)、同社はAIを軸にしたイノベーションの一環として、テクノロジー分野におけるリーダーシップ体制を強化したという。同社は「AI導入の迅速化、プロダクトおよびデザインを担当するバイスプレジデント」の役職を新設し、ダニエル・ダンカー氏を起用した。

ウォルマートが導入した「4つのAIエージェント」

 ダンカー氏はこれまで、食料品配達サービスを運営するInstacartでオンライン食料品の研究開発を主導し、CPO(最高プロダクト責任者)を務めていた。

 マクミロン氏は、Walmartが新たに「AIプラットフォームを担当するエグゼクティブバイスプレジデント」という役職を設けたことも明らかにでた。このポジションは、グローバルCTO(最高技術責任者)兼最高開発責任者であるスレッシュ・クマール氏の直属となる。

 同社が新しいリーダーシップの下で導入した4つのAIエージェントとは。

 「AIはわれわれの働き方を大きく変えつつある。ダニエル氏と共に仕事ができること、そしてこうした変化がわれわれのビジネスをさらに強化し、顧客や会員、従業員の体験をどのように向上させてくれるのかを見るのが楽しみだ」(マミクロン氏)

 世界中のテクノロジー企業が優秀なAI人材を奪い合う中(注2)、WalmartはAIの急速な進化に対応するために経営陣の体制を再編した最新の企業となった。

 2025年3月、世界有数の金融サービス企業Goldman SachsはAmazonの元幹部であるダニエル・マルク氏をグローバルAIエンジニアリングおよびサイエンスの責任者に任命した(注3)。また大手自動車メーカーのGMも同年3月、ネットワーク機器メーカーであるCiscoの元幹部をCAO(最高AI責任者)として迎え入れた(注4)。大手製薬会社のEli Lillyや(注5)、コンサルティング企業のPwCは2024年にCAOのポジションを新設した(注6)。

 WalmartはAIを事業部門全体に拡大する中でリーダーシップを変更した。

 2025年6月、Walmartは従業員向けのモバイルアプリにAI機能を追加する計画を発表した(注7)。これには接客時に役立つリアルタイム翻訳機能などのツールが含まれている。AIは、Walmartのソフトウェア開発者の納期短縮にも貢献しており、2024年には開発者の作業時間を400万時間削減したという(注8)。

 現在、Walmartが注力している取り組みの一つがAIエージェントの導入の効率化だ。クマール氏は2025年7月24日、「当社は提供するエージェント機能を絞り込み、4つの『スーパーエージェント』に統合した」とLinkedInに投稿した(注9)。同社が導入した4つのAIエージェントは次の通りだ。

  • Sparky: Walmartのアプリで動作するショッピング用のAIエージェント。顧客が必要な商品を見付ける手助けをする
  • Associate agent: 従業員向けのAIエージェント。勤務スケジュールや販売データなどの複数の業務プロセスや情報を一元管理する
  • Marty: サプライヤーや販売業者、広告主向けのパートナー支援用のAIエージェント。導入手続きや注文、キャンペーンの管理をサポートする
  • Developer agent: 開発者向けのAIエージェント。ソフトウェアのテストや構築、リリースのスピードを向上させる

 クマール氏はLinkedInへの投稿で次のように述べた。

 「われわれは、個別のツールを超えて全社的に統一されたフレームワークを構築することを選択した。これにより導入する全ての新しいAIエージェントが顧客や従業員、パートナーにとって、よりシンプルで使いやすくすることを目指している」

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