デジタル庁は行政分野での生成AI活用を推進すべく、OpenAIと連携し、「源内」へのLLM導入を発表した。今後は各府省庁への展開や国際的AIガバナンス形成にも注力し、行政業務の効率化と質の向上を図る。
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デジタル庁は2025年10月2日、行政分野における生成AIの活用拡大を図るため、OpenAIとの連携に関する方針を発表した。庁内で運用している生成AI利用環境「源内」において、OpenAIの大規模言語モデル(LLM)を活用した新たなサービスを追加し、職員が業務で直接利用できる体制を整備する。
源内はデジタル庁が構築したAI基盤であり、2025年5月に職員に提供が開始された。国会答弁の検索や法令調査支援といった行政実務に特化したアプリケーションが既に導入されており、同年8月末には庁内の利用実績が公表されていた。今回の発表により、外部の先進的なAI技術を取り入れることで、行政業務における応用範囲が広がることになる。
デジタル庁は、源内の庁内利用にとどまらず、今後は各府省庁への展開を推進する方針だ。導入に当たってはセキュリティを確保しながら利用できるよう準備するという。これにより、政府全体でのAI活用基盤の整備が段階的に進行することになる。
またデジタル庁とOpenAIは行政分野での生成AIのさらなる利用拡大への新たな可能性を検討する。公務員の働き方改革や行政手続の効率化を目的とする生成AIアプリケーションの開発および利用実証に関し、協力の余地を探る。
国際的な枠組みに関する協力も今回の発表に含まれている。デジタル庁とOpenAIは、先般取りまとめられた「広島AIプロセス包括的政策枠組み」について、アジア諸国や新興国を含む幅広い主体にAIシステムを普及させる方針を共有した。この枠組みは、安全で信頼できるAIシステムの普及を目的とし、政府、企業、学術機関、市民社会など多様な関係者による国際的なAIガバナンスを形成することを目指すものだ。OpenAIは民間の立場からその推進を支援することを確認している。
行政分野における生成AIの活用は、国内の人材不足や行政課題への対応に直結するテーマであり、今後の実装状況が注目される。
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