Accentureの2025年決算でAI事業の著しい成長が明らかになった。生成AIの収益は前年比3倍に達し、業績をけん引。多くの企業がAI導入に苦戦する中、同社はどのような戦略でこの需要を捉えているのだろうか。
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Accentureは2025年9月25日(現地時間)、2025年第4四半期の決算発表で、AI事業の大幅な成長とデータ近代化サービスの需要急増を強調した。
「当社のデータ事業は好調です」と、CEO(最高経営責任者)のジュリー・スウィート氏は述べた(注1)。
「生成AI、エージェント型AI、フィジカルAIのプロジェクトの内の半数は、重要なデータ連携を実現している」(スウィート氏)
また、同社はこれまで個別に存在していた5つの事業部門を「reinvention services」という名称の下に統合し(注2)、2025年9月初めに組織再編を完了したと、同氏は発表した。
同社は2025年8月31日までの12カ月間で、生成AIとエージェント型AIの収益が前年比で3倍、受注額がほぼ2倍となり、それぞれ27億ドルと59億ドルの収益を上げた。同社の年間総収益は7%増加して約700億ドルとなり、収益発表(注3)によると、コンサルティングとマネージドサービスにほぼ均等に分かれている。
企業が生成AI技術への投資拡大から利益を得るのに苦戦する中(注4)、Accentureは2025年6月に大規模なデジタル変革プロジェクトを中心に事業を統合する動きを見せた。
「このモデルを全面展開することで、Accentureのあらゆるサービスの販売と提供がより迅速かつ簡単になり、より多くのAIとデータを組み込み、従業員の能力開発を支援するためのサービスを循環させられるようになる」とスウィート氏は述べ、同社の大規模取引の約80%が複数のサービスにまたがっていることを強調した。
Accentureは、企業顧客を悩ませているAI人材不足の緩和に引き続き注力している(注5)。同社が2025年初頭に実施した調査では、経営幹部の約3分の2が、従業員のスキル不足が自社の生成AI推進の妨げになっていると回答した。
「AIを日常生活で使うために必要なことと、企業で使うために必要なことの間には大きな違いがあります。AIのチャンスは、ビジネス戦略とテクノロジー、そして組織の準備状況が交差するところにあります」とスウィート氏は指摘する。
同社は組織変更に先立ち、AI人材プールの構築に着手した。Accentureは、大企業向けのスキル構築プラットフォームに10億ドルを投入し、2024年3月には学習プラットフォームUdacityの買収(注6)に着手した。その5カ月後、S&P Globalは両社のより広範なパートナーシップの一環として、Accentureに3万5000人の従業員のAIスキル向上を依頼した。
スウィート氏によると、企業の人材需要の高まりに伴い、AccentureはAIとデータの専門家を2年間でほぼ倍増し、7万7000人まで増員した。同社の従業員の内55万人以上が、現在、生成AIの基礎研修を受けていると彼女は付け加えた。
AI導入を支えるインフラの近代化と基盤技術の強化も、企業の優先事項の上位に挙げられている。
「クラウド、ERP、セキュリティの近代化はまだ道半ばです。データの準備はまだ始まったばかりで、多くの企業が断片化されたプロセスとサイロ化された組織に苦しんでいます」(スウィート氏)
注1:決算発表の音源
注2:Accenture fuses 5 business units to prioritize ‘reinvention services’(CIO Dive)
注3:Accenture Reports Fourth-Quarter and Full-Year Fiscal 2025 Results(Accentureのプレスリリース)
注4:ROI, full-scale deployment of AI remains elusive(CIO Dive)
注5:# Employees want generative AI training to help close talent gap(CIO Dive)
注6:# Accenture to buy Udacity, pledges $1B more in AI skills push(CIO Dive)
注7:How S&P Global crafted an AI curriculum for its workforce(CIO Dive)
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