「AIは雇用を奪うだけじゃない」 調査で浮上した"意外な実態"CIO Dive

生成AIの能力が急速に高まる中、「AIに仕事を奪われる」という懸念が現実味を帯びてきた。しかし、最新の調査では、AIが仕事を人から奪うよりもより多くのことに貢献しているという意外な実態が明らかになった。それは何か。

» 2026年02月02日 08時00分 公開
[Scarlett EvansCIO Dive]

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筆者紹介:スカーレット・エヴァンス(Scarlett Evans)(「CIO Dive」執筆者)

 「AIに仕事を奪われるのではないか」という懸念は「ChatGPT」をはじめとする生成AIの急速な進化により、いよいよ現実の問題として意識されるようになった。実際、AIを活用する企業の中には人員削減を実施するところも出ている。

 しかし、世界的なコンサルティング企業であるEY(Ernst & Young)が発表した調査では、必ずしもAIが仕事を奪うだけではない実態が浮かび上がった。AIが既存の仕事を代替するケースが一定数存在する一方で、多くの企業はAIによる生産性向上の成果を、「ある別の形」で活用しているのだ。

「AIは雇用を奪うのか」問題 AI活用先進国の実態は?

 EYは米国で雇用されている意思決定者500人を対象に企業のAIに関する利用実態を明らかにする調査「AI Pulse Survey」を実施した。

 同調査によると、回答者の大半は「AIによって生産性が向上している」と感じている。一方で、「AIが雇用の喪失につながったか」「AIによる生産性向上は何に生かしているか」という設問に対する答えは少し意外な結果だった。

 「AIが雇用の喪失につながった」と回答した人は全体の17%にとどまっている。一方で、AIによってもたらされた生産性向上の成果は、「AI機能のさらなる拡充」や「研究」「人材育成」に活用されていると約半数の回答者が答えた。

 AIによる雇用喪失への懸念が根強く残る一方で、多くの企業は、生産性向上の成果を事業拡大に活用し、AIツールを従業員へ幅広く展開しているのだ。

 EYのダン・ディアシオ氏(グローバル・コンサルティング・AIリーダー)は、調査結果を受けて「競合他社に先んじるために、企業はAIでは置き換えられない、創造的なひらめきや判断をもたらす人間へ投資する必要がある。全体として、組織は人員削減から方向転換し、顧客体験を高める成果の創出へとかじを切っている」と語る。「数字を見ると、人材へのコミットメントが非常に強いことが分かる。多くの企業は、AIによる成果を人員削減ではなく、人材のスキル向上に再投資している」(ディアシオ氏)

次のハードルは「AIのガバナンスをいかに維持するか」

 同調査では、投資規模と成功に相関関係があることも示された。

 AIに1000万ドル以上を投資している企業の回答者の71%が「大きな生産性向上を実感している」と答えたのに対し、投資額が1000万ドル未満の組織において同様の実感を持つ回答者の割合は52%にとどまった。

 この傾向について、ディアシオ氏は「最先端の企業は、AIをコスト削減の手段としてではなく、価値創出のきっかけとして活用している」と指摘した。

 AIの導入が拡大する中、より広範な普及に向けた重要な要素として、倫理的かつ透明性のある運用に注目が集まっている。調査では、責任あるAIの取り組みへの関心が高まっていることが示された。回答者の68%は「AIが倫理的に振る舞うことを確保する取り組みを、今後1年でさらに強化する」と答えた。

 「ガバナンスが後付けではなく、スケールさせるための前提条件となるような成熟曲線が見えてきた。次のハードルは単なるポリシー策定にとどまらず、AIの活用範囲が拡大する中で顧客が求める透明性を確実に維持することだ」(ディアシオ氏)

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