ある調査によると、インシデント発生時の1時間あたりの損失額が50万ドル以上に達する日本企業の割合が43%に上ることが分かった。米国企業の31%、世界全体の34%を上回る結果だ。なぜこれほどの差が広がったのか。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
インシデント管理プラットフォームを提供するPagerDutyは2026年4月16日、「2026年版 State of AI-First Operations 実態調査レポート」を発表した。同レポートはIT運用におけるレジリエンス(障害からの回復力)と、AI活用の実態を明らかにしている。
同レポートによると、レジリエンスを向上させた企業の74%が収益増加を達成した。
一方、ITインシデントによる財務面の影響が大きいことも分かった。ITインシデント発生時における1時間当たりの損害が50万ドル以上に達する企業の割合は、世界全体で34%、米国企業では31%だった。それに対し日本企業は43%で、世界全体を9ポイント、米国企業を12ポイント上回った。
日本企業の損害が世界や米国よりも深刻な要因について、PagerDutyは明確な要因は指摘していないが、背景を考える手掛かりとなるデータは示している。
それが、AI活用における米国や世界とのギャップだ。同レポートによると、日本企業のAI導入率は55%で、米国企業の68%を13ポイント下回った。AIを導入した企業は、未導入企業と比べてインシデント対応時間が30%短く、開発者の燃え尽き症候群も25%低い。
一方で、日本企業のAIの活用価値に対する期待は高い。AIに期待する価値として、「人材の獲得と定着への効果」を挙げた日本企業は55%と、世界全体の45%を10ポイント上回った。「競争力の向上」でも日本企業は46%で世界全体の40%を上回り、「生産性の向上」でも日本企業は46%で世界全体の42%を上回った。
日本企業は、インシデント後の分析や改善への関心も高い。インシデント後に実施する分析と学習に「非常に大きなニーズがある」と答えた日本企業の割合は33%と、世界全体の23%を10ポイント上回った。
近年はインシデントの原因分析や再発防止を目的とした振り返りに、AIによるログ解析やパターン抽出を実施する動きが広がっている。日本企業における分析、改善ニーズの高さは、AIの活用価値への期待の大きさとも重なる。
これに対し、PagerDutyは「AI実装が成熟するにつれて、日本市場に大きな成長の余地があることを示している」との見方を示した。
「2026年版 State of AI-First Operations 実態調査レポート」の基となる調査は、PagerDutyの委託を受けたWakefield Researchが、米国や日本をはじめとする7カ国で2025年12月9〜22日にオンラインで実施した。ディレクター職以上のビジネス・IT意思決定者、シニア開発者の合計1000人から回答を得た。
Anthropicの新指標 AIの影響を受けにくい「3割の人々」の共通点は?
OpenAI、Codexに「自律型UI操作」機能など追加 PC画面の直接操作で定型業務と開発フローを高速化
INPEX、大日本印刷らの共通点は? 変革が定着する企業のIT部門は「ここが違う」
「非人間ID」が台頭する中でID管理はどう変わる? ITR予測Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.